海魔泳ぐ海
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。どれも神が水中カメラで撮ったものだ。
「はい。しかもかなり鋭利な刃物のようなもので。これはバダンの仕業でしょうね」
神が言った。
「そうでしょうね。それ以外には考えられません」
役も同意した。パソコンに映し出されている船の切り口はそれを示しているかのように異様に鋭かった。
「しかし連中今度は海ですか。色々とやりますね」
神はそう言って苦笑した。
「それが連中のやり方です。あの手この手でその野望を達成しようとする。その為ならどんな事も厭わない。例え他の人達がどれだけ苦しもうとも」
「それはわかっています。かって俺の父も協力を断った為ゴッドに殺されましたから」
「・・・・・・そうでしたね。お父上はご不幸でしたが」
「そして俺も奴等に殺されかけた。しかし親父がその最後の力を振り絞って俺を改造人間にしてくれた。カイゾーグ、仮面ライダー]として」
神は感慨深げに呟くように言った。
「最初は復讐の為に戦っていました。しかし奴等と戦ううちにわかったんです。あの連中と戦わなくては世界は悪に支配されてしまうって」
「ですね。しかし彼等は幾らでも甦ってくる」
「そうしたらまた戦うだけですよ。あいつ等がこの世界を支配しようとするならば俺は必ず奴等の前に立ちはだかり討つ。奴等がこの世にいる限り俺は戦い続けます」
「・・・・・・それでこそライダーです」
役は神の言葉を聞き微笑んで言った。
「ところで外に出ませんか。ちょっと暑いですし海でも見て涼みましょう」
「あ、いいですね」
神は役の誘いに乗った。そして二人は旅館を出て海に向かった。
夜の海は黒かった。昼の青と銀の海もいいがこうした静かな海もいい。二人は砂浜の上を歩いていた。
「こうした静かな海もいいですね」
役は神に対して言った。
「ええ。静かで。それでいて潮騒の音が聞こえてきますし」
波が打ちつける音が聞こえてくる。遠くには対岸の民家の光が輝いている。
「光が多いですね。案外民家があるんだな」
「あちらは呉ですか。あそこは結構大きい街ですからね」
神が役に対して言った。呉は広島県の中でもかなり大きな都市である。かっては海軍の基地があり今は海上自衛隊の基地がある。軍港の街として栄えてきた歴史がある。
「呉にも何回か行った事がありますけれどね。いい街ですよ」
神は言った。
「新米の自衛官の人がセーラー服で歩いていて。それが赤い煉瓦によく合うんですよね」
目を細めている。その光景を思い出しているのだろう。
「夜になると汽船の音がして。それを酒場で聞くんですよ。堪えられませんよ」
「ほお、それは良さそうですね」
役もその話に興味を持ったようである。
「港に行くと自衛隊の船が見えるんですよ。潜水艦も
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