海魔泳ぐ海
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「いいですよ。船に一人残っていないとまずいですし。それに役さんにはそこでソナーとかを見てもらいたいですしね」
神は準備を整え終えて言った。
「そうですか。ではお気をつけて」
「はい」
彼はそう答えると海に入った。そしてそのまま潜行していった。
海の中は意外と澄んでいた。かなり下の方までよく見える。
「貨物船はあの辺りだな」
さらに潜っていく。そして貨物船を発見した。
「あれか」
見れば岩の間に挟まるように沈んでいる。外見は特に異常は無い。沈んでからまだ日が浅いこともあり何も付着していない。
「問題は船底だったな」
甲板に着く。そして中に入っていく。
中には羅針盤等がそのまま残されていた。食べ物やフライパン等もそのままであった。
「勿体無いな。しかし逃げるので精一杯だったようだから仕方無いか」
この船は三十分も経たずに沈んだという。乗員が逃げるのだけで一杯だったようだ。
貨物もそのままであった。運んでいたのは衣類だったようだ。
「どうやらポリエステルだな。こちらはまだ使えそうだ」
すぐに引き揚げられるだろう。船員も荷物も無事だったのが不幸中の幸いか。
船底に来た。そこは話通り幾つもの穴が開いていた。
「これは酷いな」
彼の予想以上だった。直系一メートル以上の穴が幾つも開いている。これでは船が沈むのも当然であった。
穴を調べる。見れば何かで切り裂かれたようである。
「かなり鋭利なもので切られているな。岩にぶつかったとかそういうのではないな」
切り口は綺麗である。鉄をも容易に切り裂く、それだけの刃を持つ者といえば一つしか思い浮かばない。
「間違いないな。バダンだ」
神は結論付けた。これまでの沈没した船は全て調べたがどれもこのように底に大きな切り口のある穴が開いていた。下から切り裂いたとしか思えないのである。
「どうやらこの瀬戸内を通る船を次々に沈めていっているようだが」
神は穴の切り口に手を当てながら考えている。
「この瀬戸内の安全を脅すつもりだろう。だがそうはさせんぞ」
彼はそう言って貨物船を後にした。それを岩陰から見る影があった。
影はその場を去ると丘へ上がった。そして目の前の岩をどかしその下にある階段を降りていった。
階段の下には扉があった。それを開き中に入る。
通路を進んでいく。左右には幾つか部屋がある。だがそれの何処にも入らず奥へと進んでいく。
奥には一つの扉があった。その横にあるスイッチを押すと扉が左右に開いた。そしてその中に入った。
そこは指令室であった。通信機やコンピューター等が置かれ複数の戦闘員達が座っている。
二階になっており二階には誰かが椅子に座っている。彼はその椅子に座っている者に対し敬礼をし
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