海魔泳ぐ海
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陥れてやるのだ」
暗闇大使は笑った。彼が目にするモニターには海に沈んでいく貨物船があった。
「おい、敬介から連絡は無いか」
立花はアミーゴの奥にある通信室でチコとマコに尋ねた。
「敬介さんならさっき連絡がありましたよ」
「船の上からでよく聞き取れませんでしたkれど」
二人は軽い調子で言った。
「それを聞くのが御前等の仕事だろ。純子みたいにちゃんとやれ」
立花は口からパイプを外して言った。
「あら、お言葉ん。これでも仕事はちゃんとやってるわよ」
「そうよ、現にこうやって通信もしてるじゃない」
二人は口を尖らせて反論した。
「全く、ああ言えばこう言うで口の減らん奴等だ。で、敬介は何って言ってるんだ?」
「所在の連絡です。今魚島の辺りにいるそうです」
「魚島か・・・・・・」
立花はチコの言葉に考え込んだ。魚島とは瀬戸内の真ん中辺りにある島である。広島県と愛媛県に挟まれる形となっており南にはヒウチ灘がある。
「あそこでよな、この前貨物船が沈んだのは」
「はい、船長さんが真っ青な顔でテレビに出てましたね。何でも船底に穴が次々と空いていったとか」
マコが言った。
「それがわかんねえんだよな。そんな事普通じゃ起こる筈が無ねえからな」
「あらっ、だから怪しいんでしょ?」
「そうよ、バダンの仕業かも知れないから敬介さんが行ったんでしょ」
二人が反論した。
「それはそうだが・・・・・・。海か。まああいつにはもってこいの場所だがな」
立花は言った。そして瀬戸内にいる神敬介に対し思いを馳せた。
(頑張って来いよ)
そして通信機の前に来た。それから二人に問うた。
「純子は今日は遅くなるみたいだからよろしく頼むぞ。後でコーヒーを差し入れてやるからな」
「ケーキも頂戴」
「あたしはチーズケーキがいいな」
「ああ、わかったわかった。真面目にやってればケーキでも何でも食べさせてやるよ」
立花はそう言うと店に戻った。店に出ると丁度四郎がコーヒーを入れていた。
その頃神敬介は魚島の辺りを船に乗り捜査していた。船はレンタルした小型のクルーザーである。
彼は船首のところにいた。そして海面を見ている。
「神さん、この辺りでいいですか?」
操縦室の方から声がした。役の声である。
「あ、はい。ここら辺でいいです」
神は言った。役はその言葉に従い船のエンジンを停止した。そして碇を下ろす。
そして船首に出て来た。その手には潜水服とアクアラングがある。
「どうぞ」
役はそれを神に手渡した。神はそれを快く受け取った。
服を脱ぐ。既に下に水着を着ている。そして潜水服を着てアクアラングを担いだ。
「私も行かなくていいですか?」
役が尋ねた。
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