魔虫の潜む街
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「はい、こちら喫茶アミーゴ。あ、志郎さん」
通信を受け取った純子が朗らかな声を出した。
「あ、はいわかりました。それじゃあおじさんにはそうお伝えします」
純子はそう受け答えると通信を切った。
「ん、志郎の奴からの連絡か?」
そこに立花が入って来た。彼が部屋に入った丁度その時通信が切れたのだ。
「はい。小樽でのバダンの作戦を阻止したらしいです。今から東京に戻られると」
「そうか。これで小樽での奴等の作戦も見事叩き潰したんだな」
立花は会心の笑みを浮かべて言った。
「はい。これで九州と沖縄、北海道は救われましたね」
「ああ。けれどまだ奴等は滅んじゃいないぞ。何せゴキブリみたいにしぶとい奴等だからな」
「おじさん、幾ら何でもゴキブリだなんて」
純子はバダンをゴキブリと評した立花の言葉に笑った。
「おい、笑っちゃいかんぞ。ゴキブリは人類の宿敵と言われているからな。何しろあの連中はわし等がこの世に現われるよりずっと前からこの世にいるんだからな」
「はいはい」
純子は笑いながら受け答えた。
「まだわかっとらんな。まあいい。客商売してたら嫌でも解かるさ」
立花はしょうがないな、といった感じで言った。
「現に今もチコとマコに店の中を掃除させているところだ。そうだ純子、御前も行け。あのおっちょこちょい共だけじゃ少し心配だ」
「わかりました。それじゃあ通信お願いしますね」
「おう、わかった」
純子が部屋を出る。立花は彼女に替わって通信室の前に座った。
「全く何時まで経ってもあの怖さがわかっとらんな。あいつが出る事が店にとってどれだけ怖ろしい事か」
立花はブツブツ言いながらヘッドホンを着けた。そして通信のスイッチを入れた。
「ん、金沢からか。金沢というと・・・・・・丈二の奴か」
立花は壁に掛けてある地図を見ながら言った。
「さてと・・・何の連絡かな。怪人でも見つけたか」
立花はそう言いながら通信に出た。結城の声が聞こえて来る。
この時彼は気付かなかった。自分の足下にゴキブリがいた事を。そしてそのゴキブリが蜘蛛に捕らえられている事を。
織田信長の配下の武将の一人に前田利家という者がいた。若い頃より男伊達で武勇に優れた男であった。信長の側近である赤母衣衆の一人となり勇名を馳せた。戦にあっては敵の首級を次々と挙げる武辺者であり『槍の又左』と言われ敵味方問わずその強さを知られる猛者であった。
又彼は主の信長と同じく傾奇者として知られ義理とはいえ甥に当たる前田慶次とは同じく傾奇者としてよく衝突したという。慶次も有名な武辺者であり風流人としても知られたが利家はその慶次にも引けを取らない激しい気性と個性の持ち主であった。尚この二人は歳も近くそれでいて叔父と甥の関係にあり
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