魔虫の潜む街
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竜がその戦闘員を蹴り飛ばした。そして刀の前に立ちはだかる。
戦闘員達が竜に襲い掛からんとする。だが結城がそこに入る。
戦闘員達は二人により全員倒されてしまった。刀は守られたのだ。
「危ないところでしたね」
竜は床に伏す戦闘員達を見下ろしながら言った。
「ええ。では刀を調べましょう」
竜は刀を手に取った。そしてそれを抜いた。
白い光がその場を照らす。神々しいまでの光であった。
「・・・・・・違いますね」
竜はその刀を見て残念そうに呟いた。
「これは江戸時代のものですね。かなりの業物だと思いますが国切ではありません」
「そうですか」
「はい。国切は平安期に造られたもの。当時のものはもっと反りも太さもあるのです」
「あ、そうだったんですか。それは知りませんでした」
我が国の刀がああいった形になるのにもかなりの時間を要している。当初は両刃の剣もあったのだ。
「次は何処へ行きますか」
「そうですね・・・・・・」
竜は少し思案した。チラリ、と扉の方を見た。結城もそれに気付いた。
「兼六園へ向かいましょう」
「兼六園ですね」
結城もそれに頷いた。
「では行きましょう」
「はい」
二人はそう言うと蔵を出た。そしてその場を後にする。
二人が去ったその蔵の壁に誰かが浮き出てきた。バダンの戦闘員だった。
「聞いたな、奴等は兼六園へ向かう」
ある男が出て来た。クモロイドである。
「ギイッ」
その戦闘員の他にも何人かの戦闘員が出て来た。そしてクモロイドの言葉に頷く。
「すぐにあの場へ向かうぞ。そして二人を消す」
彼等はそれに頷くと姿を消した。クモロイドもそれに続いた。
兼六園は日本三名園の一つに数えられている。金沢に来た者は殆どこの園に来る事でも知られている。
その始まりは延宝四年(一六七六年)にまでさかのぼる。当時の藩主が自分の別荘を建て、その周りに庭園を作ったのが始まりであるとされている。
その中は四季とりどりの花と澄んだ池や美しい木々により彩られている。四季折々の美しさが楽しめる庭園として金沢の人々からも深く愛されている。
「噂には聞いていたが中々・・・・・・」
竜は庭園の中を歩き回りながら満足そうに呟く。
「私もここへ来たのは初めてですがいいですね。心が和みます」
結城も彼に同意した。二人は花々と緑の中を進んでいく。
「特にこの霞ヶ池がいいですね。奥に小さい庵が見えるところがまた何とも」
まるで水の上に浮かんでいるような亭がそこに見えていた。
「ええ。しかし」
竜は結城に同意したところでその表情を引き締めた。
「その美しい場所を荒らそうとする無粋な輩共がいるのが実に残念ですが」
「それは我等の事かな
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