魔虫の潜む街
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り引きは順調に進みました」
「そして彼は家康に就き国切の管理を任されるようになった、というわけですね」
「はい。そして今もこの金沢の何処かに密かに納められているのです」
「成程、実に興味深い話でした。それだけの刀ならバダンの者達が狙うのも無理はありませんね。しかし一つ気になる事があります」
「それは何ですか?」
結城の言葉に今度は竜が尋ねた。
「それだけの刀の管理を何故徳川家が行なわなかったのですか。皇室は清盛にお戻しになられましたからそれに倣っているのでしょうが」
「若しかするとそのあまりに強大な力を恐れたのかもしれません」
「力を恐れるとは?」
結城は声を上ずらせた。
「国切の守護を任せられた者達は何れも永くは栄えませんでした。平家も源氏も執権家も。足利家もその栄えた時は短く戦国には既に名ばかりの存在でした」
「そして信長、秀吉もその栄えた時は短かった」
「はい。徳川幕府はそれに薄々気付いていたのかもしれません。だからこそ管理を他の家に預けた」
「・・・・・・それによって前田家はこの地の雄藩として江戸時代を終えた。これも国切の力でしょうか」
「そこまでは。ただこの金沢は火事の多い町でもありました。城の天守閣も燃えてしまった事もあります」
「それも刀の力だと・・・・・・」
「それは解かりませんが。ただそれにより金沢藩はその対応に追われ続けたのは事実です」
「国を護る程の絶大な力を持った神刀、それだけに護る者の身にも危害を及ぼす妖刀ですか。厄介ですね」
「はい、何としてもバダンから護らなければなりません。彼等にその力を悪用されない為にも」
二人は話を終えると料亭を後にした。それを遠くから見る一つの影があった。
「そうか、この金沢には結城丈二が来たか」
赤い照明に照らされた基地の指令室で一人の壮年の男が戦闘員からの報告を受けていた。
「ハッ、既にインターポールの捜査官滝竜介と合流致しました。早速国切の捜査を開始しているようです」
男の前に立つ戦闘員が敬礼をして報告した。
「もう動いているか。やはり噂に違わぬ切れ者のようだな」
男は顎に手を当てながら言った。
髪は黒い。浅黒い日に焼けた肌をしている。見事な口髭を生やし白い服を着ている。顔立ちから察するにどうやらアラブ系のようだ。
「だとすれば我々も早速動くか。兵を二手に分けるぞ」
「ハッ」
彼の言葉に部屋にいた戦闘員達が一斉に敬礼をした。
「まずはこれまで通り国切を捜索する部隊。だが奇数の班はこの任務を解く」
男は言葉を続けた。
「奇数の班はわしが直接指揮する。結城丈二と滝竜介の撹乱及び抹殺に当たる」
「ハッ」
戦闘員達が再び敬礼をした。
「フフフフフ、相変わら
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