魔虫の潜む街
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ですか」
「はい。そして清盛はその刀を嫡男である重盛に渡しました。重盛は京の都に社を設けこの刀を収めました。ところがこの刀を狙う賊が現われたのです」
「どうなりました?」
「賊は皆その首を断ち切られ息絶えていました。その場には誰もいなかったというのに」
「という事は・・・・・・国切が・・・・・・」
「はい。そう言われております。そして平家が滅びこの社は源氏が管理するようになりました」
「そしてどうなりました?」
「元寇はご存知ですね」
「ええ」
元寇とは当時ユーラシアの殆どを勢力下に収めていたモンゴル帝国の東部を治める元の皇帝フビライが属国である高麗国王の言葉に従い日本を攻めた戦争である。都合二回行なわれている。
「その戦いの時です。不意に社から刀が飛び出したのです」
「あの山賊達の時と同じように」
「いえ、あの時よりも凄まじい話です。何しろ対馬まで飛んで行ったのですから」
「何と・・・・・・」
結城はその言葉を聞いて絶句した。
「そして対馬で領民達に対して悪逆の限りを働いていた元と高麗の兵士共を斬り捨てていったそうです。まるで何者かが操っているかの様に。そしてその地にいた元、高麗の兵士達を全て斬り伏せたそうです」
「そうですか・・・。対馬を救ったのですね」
「そうです。しかしそれが国切の名の由来にはなったわけではいのです」
「他にも逸話があるのですか?」
「はい。その後我が国を乗っ取らんとした妖術師が十津川に現われたのです」
「十津川ですか・・・・・・」
十津川とは奈良にある深い木々に囲まれた地である。霊験あらたかな地として古来より修験者達の修業の場であった。南北朝時代は南朝の御所があった場所でもある。
「再び国切は動きました。そしてその恐るべき妖術師を死闘の末に斬り伏せたのです。そしてそれまでの功により帝から正一位の位を贈られたのです。そして『国を脅かす者を切り伏せる』という意味からこの名となったのです」
「実に恐ろしい力ですね」
「はい。その為戦国時代もこの刀は足利将軍家に護られていました。それだけ衰えようがこの刀の守護だけは怠らなかったと言われています」
「それだけその刀の力を恐れていたのでしょうね。しかし何故その刀が前田家に?」
「それには一つの取り引きがありました。関ヶ原の時です」
竜の目が光った。
「関ヶ原の時に前田利家は徳川家康と対立していました。しかし利家は間も無く亡くなってしまいます」
「家康にとっては最大の政敵が亡くなったわけですね」
「はい。そして彼はその息子利長を己が勢力に取り込もうと考えました」
「そしてその見返りとして国切の管理権を与えたと」
「はい。当時は豊臣家が管理していましたが秀吉は既に亡くその取
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