魔虫の潜む街
[3/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
から顔を離し辺りを見回して言った。辺りには観光客が大勢いる。
「まあすぐにわかるか。そろそろ来る頃だろうし」
そう言って顔を再び絵の方へ向けた。そうすると門の外の方から彼を呼ぶ声がした。
「貴方は」
結城は目の前にいる男に声を掛けた。今結城を呼んだ男である。黒いジャケットにスラックスを着た細身の男である。その顔は中世的であり整っている。髪は黒くくせがある。何やらスポーツをしていたらしい。その細身の身体は引き締まりしなやかな身のこなしである。
「はじめまして。滝竜介といいます」
「滝?インターポールの滝さんのご親戚か何かで」
結城は目を少し開けて聞いた。
「はい。親戚です。といっても遠い親戚ですけれどね。日本人ですよ」
その男は微笑んで言った。
「成程、滝さんの。そして私に何か御用ですか?」
「ええ。バダンの事で」
その名を聞いて結城の目が光った。
「詳しい事は場所を変えて。店を予約してありますので」
「わかりました」
結城は固い表情で頷いた。そして二人は東別院を後にした。
二人はとある料亭に入った。そして料理を食べながら話をしていた。
「インターポールから来られたのですか」
「はい。元々はサッカー選手をしていたのですが膝を痛めましてね。丁度いい歳だったので引退したんです」
滝竜介は箸を動かしながら言った。
「そしてコーチへの誘いを受けていたんですがね。ちょっとサッカーから離れてみようと思いまして」
「ほお。何故ですか」
「今までずっとサッカーばかりの日々でしたからね。少し違った事をしてみたいと思いまして。大学の先輩に紹介されて警備会社に入ったんです。それがまたえらくハードなところでしてね。暴漢と闘ってばかりでしたよ」
「またえらく凄いところですね」
結城は苦笑して言った。
「それでそこで働いているうちにインターポールからスカウトされまして。捜査官になったのです」
「成程。しかし滝さんや役君とは違う部署のようですが」
「はい。私は本来は麻薬捜査が専門なんです。勤めていた警備会社がそういった関係の組織と仲が悪かったので」
「麻薬ですか。我が国にも色々と入り込んでいますからね」
結城は目を光らせた。デストロン等の組織では麻薬よりも遥かに恐ろしいものを使う事がある。かってゲルショッカーで使用されていたゲルパー薬がその代表だ。
「今回は助っ人なんです。バダンが世界各地で暗躍を始めてインターポールも忙しくなって」
「そうですか。奴等世界中で活動を始めたのですか」
結城は暗い顔をした。
「まだ表立っては動いていませんがね。動くのはもう少し後だと思われますが」
「しかし油断してはいけませんよ。人々が安心した時に現われる、それが奴等なん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ