魔虫の潜む街
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る人間が多いな」
村雨はポツリ、と言った。
「まあね。もうすぐ東京に入るしね」
博士は口に煙草をくゆらせながら言った。
「東京・・・・・・何処だそこは」
村雨は博士に問うた。
「この日本で一番大きな都市さ。首都でもあるよ」
「首都・・・・・・」
「あ、知らなかったか、済まない。まあこの日本の中心だよ、中心。わかりやすく言うとね」
博士は顔を崩して言った。
「そうか、中心なのか。この日本の」
村雨は頷いて言った。
「そうだよ。人も大勢いてね。賑やかな街だよ」
「そうか。だとするとバダンにもよく狙われそうだな」
村雨は道の向こうに見える空を見ながら言った。その空は白い。
「まあね。そのせいでライダー達も東京でよく戦ったよ」
博士は感慨を込めて言った。
「そして今度は俺が東京へ入るのか。バダンと戦う為に」
村雨は言った。そこにはまだ感情に乏しいながらも決意の色があった。
「そうだ、村雨君。しかしそれだけではないぞ」
博士は彼の方に顔を向けて言った。その顔は真摯なものになっていた。
「君が失ったものを全て取り戻す為に。人として再び歩き出す為に東京に行くんだ。もうすぐ君の新生の時がやって来るぞ」
「新生の時・・・・・・」
村雨はその言葉を反芻するように呟いた。
「そうだ。行こう、東京へ」
「ああ」
トラックは進んだ。そして東京へ入ったことを示す看板の横を通り抜けた。
魔虫の潜む街 完
2004・1・5
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