魔虫の潜む街
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の上に何者かが姿を現わした。それはクモロイドであった。
既に怪人の姿を取っている。周りには戦闘員達もいる。
「それが国切が噂に違わぬ力を感じるな」
クモロイドは結城と竜を見下ろしながら言った。
「その力はこれからバダンが使わせてもらう。貴様等なぞには渡さん」
そう言うと戦闘員達が何かを投げた。それはトリモチだった。
「危ないっ!」
二人はそれを咄嗟にかわした。だが結城に対する攻撃は執拗だった。かれはそれに捉われてしまった。
「これで身動きは取れまい」
クモロイドは余裕の笑みを漏らした。
「クッ・・・・・・」
結城は歯噛みした。トリモチを引き剥がそうとする。だが容易には取れそうもない。
クモロイドはその間に口から糸を吐き出した。そしてそれで国切を奪った。
「クソッ・・・・・・」
二人は舌打ちした。だが何も出来なかった。
「フフフ、これが国切か」
クモロイドはそれを手に取りニヤリと笑った。
「これさえあれば我がバダンの力は大いに飛躍する。そしてこの世を手中に収めるのだ」
刀身を抜こうとする。だが抜けなかった。
「!?」
必死に力を入れる。だがどうにもならない。
「国切は悪を断ち切る刀、邪な者には扱う事は出来ぬ」
何処からか声がした。不意に誰かがその場に現われた。
「貴方は・・・・・・」
それは大乗寺の住職であった。その門下にある禅僧達も一緒である。
「貴様はあの寺の・・・・・・」
クモロイドは彼を見て言った。
「ほう、拙僧を知っておるか。どうやら前より色々と寺の周りをうろうろしていたのはお主達のようだな」
住職はクモロイドを見上げて言った。その顔には余裕笑みが浮かんでいる。
「今の言葉、どういう意味だ」
怪人は住職に問うた。
「邪な者には使えぬという言葉か?その通りだ」
住職は言った。
「国切は我が国を守りそれを脅かさんとする邪な者を斬り伏せる霊刀。それがこの世を支配しその為にはどの様な手段も厭わぬ貴様等に従うと思ったか」
「クッ・・・・・・」
クモロイドは住職の言葉に舌打ちした。
「その刀は抜けぬ。そこには札とはまた違った結界が張られているからのう」
「クッ、だから抜けなかったのか・・・・・・」
「安心せよ。刀が抜かれたならば国切は貴様等を討ち滅ぼすからのう」
「つまり貴様等にとってその刀は無用の長物というわけか」
結城は言った。既にトリモチは全て剥がしている。
「フン、ならば貴様等を倒すだけだ」
クモロイドは彼に対し吐き捨てる様に言った。
「望むところ、俺も今ここで貴様等を倒してやる」
結城はクモロイドを見上げて言った。そしてゆっくりと両手を上げた。
トォーーーーーッ
叫
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