魔虫の潜む街
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まずは辺りを見回す。周りには誰もいない。
「よし」
そして櫓の下の石垣を調べる。そしてその端の城壁との境目に一つ奇妙な形の石を見つけた。
それを押す。すると中へ入る通路が現われた。
「何か妙に隠し通路が多いですね」
結城が思わず呟いた。
「城とか寺はどうしてもそうなってしまいますね。戦乱に備えて。さあ行きましょう」
竜が言った。そして二人は中に入った。
その中は古い木造りの廊下だった。どうやらこの城が築城された頃に造られたものらしい。
「度重なる火事でも残っていたのですね」
「その様ですね。それにしても長い廊下ですね」
二人はその廊下を進んでいく。階段を降り奥へ奥へと進んでいく。
その最深部には一つの玄室があった。扉には結界の札が貼られている。
「この地図の通りですね。ここに国切があります」
竜は地図を見て言った。そして懐から札を取り出した。
「住職から頂いたこの札、効くといいのですが」
その札を扉に貼り付ける。すると扉はゆっくりと開いた。
「よし」
二人は中に入った。そこに国切はあった。
「これが国切・・・・・・」
二人は思わず声を漏らした。玄室の中に刀差しにかけられ静かに保管されている。豪華な装飾が施された鞘には札が貼られ厳重な結界が施されている。
「どうやら本物のようですね」
結城がそれを見て言った。
「ええ。その証拠がこの厳重な結界です」
竜も言葉を発した。そしてその結果をまじまじと見た。
「それにしても凄い結界ですね。この刀の力がどれだけ凄いかわかる」
懐から札を再び取り出した。今度は何枚もある。そして一枚一枚貼っていき結界を少しずつ解いていく。
「これで最後だ」
遂に結界を解いた。そして国切を手に取った。
「行きましょう、奴等が来ないうちに」
「ええ。あの連中の事です。すぐに追いかけて来ますよ」
二人は玄室を出た。そして廊下を駆けていく。
「結城さん、この刀は貴方にお任せします」
竜は駆けながらそう言うと結城に国切を手渡した。
「何故ですか?」
結城は刀を受け取りながら尋ねた。
「この刀を奴等から護る事の出来る力を持っているのは貴方だけ。だからこそ貴方にお任せするのです」
竜は真摯な表情で言った。
「・・・・・・そうですか。わかりました、この刀、バダンから護ってみせます」
結城は意を決して言った。
「行きましょう」
「はい」
二人は外に出た。そして出入り口を元に戻しその場を後にした。
五十間長屋のところを駆ける。その時上から何かが二人へ目掛け投げ付けられてきた。
「ムッ!?」
二人は横に跳んでそれをかわした。そして身構える。
「待っていたぞ、二人共」
城壁
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