雪原の花
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先は何処だと言っていた?」
「それが。一切不明だそうです」
「そうか・・・・・・。足は見せないつもりか」
風見と佐久間はホテルの出入り口を潜りながら話していた。
「このホテルには手懸かりは何一つとして残されてはいなかったな。部屋にも何も無かった」
「元々改造人間ですからね。指紋も髪の毛も何一つ残っていませんでしたね」
「ああ。こうした時には便利だな。そういう事を他に使う気には到底ならないようだが」
風見はバラロイドがいたというホテルのスゥイートルームの窓を見上げながら言った。
「さてと、これからどうするか、ですね」
佐久間が窓から視線を外し顔を前に戻した風見に言った。
「ああ。まずは犠牲者の出た場所を調べてみるか。ひょっとしたらそこに手懸かりがあるかも知れん」
「そうですね、それが一番いいですね」
風見の言葉に佐久間も頷いた。二人はマシンに乗りその場を離れた。
モニターに映し出されたホテルでの風見とバラロイドの戦いを暗い部屋で見る一つの影があった。
「うむ、人間の姿だとあまりわからぬな」
影は暗闇大使であった。壁の上のほうに置かれたモニターを眉を顰めながら見ている。
「バラロイドからの報告はあったか」
後ろの戦闘員の一人に尋ねる。
「ハッ、先程小樽の新しい隠れ家より報告がありました」
彼は敬礼をして答えた。
「そうか。何と言っている」
「技のキレ、速さ共以前のデータに比べ上昇しているのは確かです。しかし決定的な差は確認出来ないと」
「そうか。それでは今奴と戦うのは危険か」
暗闇大使は腕を組みながら考えた。
「いや、一つ方法があるか」
ふと閃いたような顔をした。
「奴の弱みを衝こう」
「弱み、ですか?」
戦闘員達はその言葉にキョトンとした。
「そうだ。弱みだ。バラロイドに伝えよ、わしが策を授けるとな」
「ハッ!」
戦闘員達は敬礼をした。そしてモニターを切り通信を合わせはじめた。
「これでよし・・・・・・といきたいところだが」
暗闇大使は笑いかけたところで口元を締めた。
「もしかしたら奴の改造は・・・・・・・・・」
一号と二号の改造は全体的な強化だった。そしてその力を格段に伸ばしていた。
X3もそれは充分考えられる。しかし果たしてそれで全ての改造なのであろうか。
「もしもの時には・・・・・・わしも考えておくか」
暗闇大使は考える目をした。そしてモニターに現われたバラロイドに顔を向けた。
風見と佐久間は夜の小樽の運河沿いにいた。ここで一人消息を絶っているのだ。
岸沿いに倉庫が立ち並ぶ小樽の運河は観光地として有名である。昼には土産屋が立ち並び夜は霧に包まれる。雪と霧に覆われた白い運河を二人は歩いてい
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