雪原の花
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た。
「足下に気をつけろよ」
「はい。しかしかなり冷えますね」
佐久間はコートの上から身体を少し震わせながら言った。
「ああ。確かに冷えるな」
風見は息を吐いた。その息は白かった。すぐに霧の中に消える。
「だがそうも言ってはいられまい。ここに奴等の手懸かりがあるのかもしれないのだからな」
「ええ。寒いなんて言ってはいられませんね」
「そういう事だ」
二人は運河沿いを歩いていった。そしてある場所で立ち止まった。
「丁度この辺りだったな。人が消えたというのは」
「ええ、ここで間違いないですね」
佐久間は懐から一枚の地図を取り出して街灯を頼りにそれを見た。レトロな大正期を思わせる作りの街灯である。
「そうか。まずはアスファルトを調べるか」
「ええ」
二人は雪を払いその下のアスファルトを調べようとした。そこへ不意に何かが襲って来た。
「危ないっ!」
それは鞭だった。二人はそれを跳んでかわす。
「バダンか!」
二人は身構えた。それに答えるかの様に戦闘員達が姿を現わした。
「ギッ、ギッ」
戦闘員達は鞭や網を手に二人に迫ってきた。二人はそれに対し身構える。
その二人を戦闘員達は遠巻きに囲む。時々ナイフを投げて来るだけで積極的に攻撃してこようとはしない。
「どういうつもりだ」
網を持つ戦闘員がそれを風見に向けて投げ付けて来た。風見は咄嗟の事だったのでかわしきれず網の中に捉われた。
「しまった!」
戦闘員達はそこに体当たりを喰らわせた。風見はそれに耐え切れず運河に落とされた。
「先輩っ!」
佐久間が叫ぶ。風見は改造人間だ。普通の者なら瞬時に心臓麻痺で死にかねない極北の河の中でも耐えられる。しかしこのままでは沈んでしまいかねない。
佐久間は助けに飛び込もうとする。だがそれは戦闘員達が許さない。彼を素早く取り囲んだ。
「クッ・・・・・・」
歯噛みする佐久間。だがその後ろから何者かが運河から跳び出て来た。
「X3!」
佐久間はその姿を見て喜びの声をあげた。風見は運河の中でX3に変身していたのだ。
「行くぞっ、バダンの手先共!」
X3は身体に残った網を剥ぎ取り戦闘員達に向かって行く。戦闘員達はそれに対しやはり積極的に向かおうとはせず間合いを取りナイフを投げるだけである。
「・・・・・・どういうつもりだ」
X3はそれを不審に感じた。そこに戦闘員達が一斉に鞭を放ってきた。
「ウォッ!」
それはX3の全身を絡め撮った。かなり強い。しかも身体の重要な箇所に全て撒き付いている為身体を容易に動かす事すら出来ない。
「クッ、まずったか・・・・・・」
佐久間も他の戦闘員達に防がれ助けに向かえない。X3は意を決した。
「これしかない!」
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