雪原の花
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。戦闘員ではない」
暗闇大使は戦闘員の言葉に頭を振った。
「ライダーの方だ。誰があの地に向かってきている?」
「ライダーですか?ええっと・・・・・・」
戦闘員の一人がモニターに北海道を映した。
北海道の函館の地域に赤い光が照った。戦闘員はそこを拡大させた。
そこに小樽の街が浮かび上がる。厚い雲と白い雪に覆われた港町だ。
「確かこの辺りに・・・・・・」
小樽港の辺りを集中的に映す。そして遂に一人の男を見つけた。
「あ、いました。この男です」
「この男がか・・・・・・」
暗闇大使はモニターに映る男の姿を見上げて呟いた。そこには風見志郎がいた。
レストランでの食事を終えた伊藤博士と村雨良は店を後にした。そして再び道路に出た。
「雨も止んだな」
博士は晴れ渡り厚い雲の間から顔を覗かせる雲を見上げながら言った。
「ああ。視界が良くなった」
村雨が運転をしている。表情を変えることなくただ前を見てる。
「なあ、村雨君」
博士はそんな彼に声をかけた。
「何だ?」
村雨は少し疑問の問い掛けを込めた言葉を発した。
「この空を見てどう思う?」
「この空を・・・・・・・・・」
彼は博士に言われるまま空を見上げた。手はハンドルから離さない。その運転は正確である。
「・・・・・・・・・」
厚い雲はもう遠くへ去り白く綿の様な雲が空に浮かんでいる。その空は何処までも続くかのように青く澄んでいる。
そしてその中央には太陽がある。その下にある全てのものを輝かしい黄金色の光で照らしている。
「雲・・・・・・空・・・・・・太陽・・・・・・」
村雨はその三つを見上げて呟いた。
「そうだ。それを見てどう思う?」
博士は微笑を浮かべながら問うた。まるで親が子に何かを教えるような優しい笑みである。
「白・・・・・・青・・・・・・金・・・・・・」
村雨はその三つのものの色を呟いた。その三色が彼の目に鮮やかに入って来る。
「・・・・・・・・・」
村雨は沈黙した。そして上を見上げたまま運転を続ける。
「おっと、そのままじゃ危ないな。そうだ、少し道を離れよう」
博士は彼に道を離れるよう言った。彼はそれに従った。
二人は車を高速道路のしたの普通の公道の脇に停めた。そこは隣に森を控える草原だった。
「よし、ここならいいな。さあ村雨君、空を思う存分見るんだ」
「・・・・・・ああ」
村雨は博士に言われるまま空を見上げた。白い雲も青い空も黄金色の太陽もその全てが彼の目に入って焼きつく。
「・・・・・・・・・」
村雨は一言も発しない。ただ空を見上げている。
「どうだ、何か感じるものはないかい?」
博士は問うた。だが村雨はその問いに対し何も発しない
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