第十二話 聖杯の主その二
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「頭蓋骨とかじゃなくて普通の昔の杯みたい」
「杯ね」
「それなのね」
「だったら」
皆また話す。
「普通の杯なら」
「変に思わずに見つけられるな」
「そうだよな」
こう話して今は聖杯の話を終えてだ。すぐに宴会に集中する。そのうえで酒やジュースを飲み御馳走を食べる。その御馳走はかなり独特だった。
「干した蛸に鯛の膾」
「それと玄米粥」
「あと何だこれ」
ここで真墨が白く丸いものを見て言う。
「チーズが?」
「それは醍醐ですね」
さくらがその彼に言う。当然彼女も浴衣姿である。中々艶かしい。
「この時代の食べ物の一つです」
「そういえば今出ている料理って」
蒼太もここで言う。
「かなり昔のものなのかな」
「そうだな。飛鳥時代や奈良時代のものだ」
暁がそれだというのだった。
「その時代のものだ」
「そうか、そうなのか」
「その時代のものなんだ」
映士と菜月も食べながら成程という顔になる。
「野菜も美味いな」
「けれどお醤油ないよ」
「お醤油はこの時代ないのよ」
ランがこのことを話す。
「実はね」
「お醤油がない!?」
「和食なのに!?」
それに驚いたのは敵の面々だった。
「何なんだ?それは」
「ないって」
「どういうことなのよ、お醤油がないって」
「いや、何であんた達が驚くんだ?」
それに突っ込むのはケンだった。
「日本人じゃない面々ばかりじゃねえか。それでもか」
「何を言う、日本にいればその味に親しむ」
「だからだ」
それでだというのだ。
「それでお醤油がないというのはだ」
「甚だ残念だ」
「全くだ」
「しかしそれでも」
それでもだというのだった。
「味はいいな」
「そうよね」
「独特の味だ」
「それにこの酒は」
酒も飲んでいる。しかしその酒はだ。
「随分濁ってるな」
「何だこの酒は」
「何なんだ?」
「濁酒だな」
ここでドウコクがそれだというのだ。
「これはな」
「濁酒」
「噂には聞いていたがこれがか」
「これが濁酒なの」
「そうだ。昔はこの酒ばかりだった」
こう一同に話すのである。自分の仲間達だけでなく敵である戦隊の面々に対してもだ。その濁酒を自分の杯に入れながら美味そうに飲み干している。
「この時代もな」
「そうだったのか」
「この時代はそればっかりだったのか」
「成程な」
「それに」
しかもだった。
「これはこれで美味い」
「甘いし」
「結構飲めるな」
「僕は飲めないからわからないけれど」
ボンバーは機械なのでそれはできなかった。
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