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東方守勢録
第六話
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してます。ですが……私としゃべると挨拶しかせずに……去っていきます」

「……」

「それが……私にとってもすごく痛手になりまして……しばらくは部下をとることもしませんでした。そんな時……あなたを見つけたんですよ」

「……私を?」


椛はすでに泣きそうな顔になっていた。文はだんだんと表情を和らげながら話を続けた。


「それはもう上司に頼みこんで、私の部下にしてもらいました。同じ過ちを二度はしないと肝に銘じて……それが、あなたに厳しく接するようになった理由です」

「……私は」

「でも……これも所詮自分に対する甘えや守りなのかもしれないですね……やっぱり私は指導者には向いていないみたいです。あなたを追い込んだのも事実ですし、この戦いが終わったら配属を変えるように……」

「やめてください!」


椛は目から涙をこぼしながらそう言った。


「そんなことを言っておいて…今更そんなこと言わないでください!それこそ……自分にたいする甘えですよ!」

「椛……」

「いままで……私が未熟だったんです……文さんの考えにこたえられなかったのも……」

「ですがそれは仕方のないことで……」

「仕方ないでくるめないでください!私は……もっと精進します!ですから……まだ……いろいろ教えてください……」

「……いいんですか?こんな上司で」


大粒の涙をこぼしながら椛はコクリとうなずいた。

文はそれを見て優しい頬笑みを返すと、椛を抱きしめた。


「じゃあ……これからもよろしくお願いしますね……椛」

「……はい」

「では……少し……我慢してくださいね」


文はそう呟いて、椛を操作していたチップをゆっくりひきはがした。
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