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東方守勢録
第六話
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ルでもある、姫海棠はたてである。


「でもまあ、椛の言うことは正論よ。あそこまで怒るのはちょっとどうかと思うけど」

「それはそうなんですがねぇ……私だけのことを言うならまだしも、烏天狗全員に向けて言うんですから……」

「まあ、文以外にも勝手なことをする烏天狗は少なくないしね。でも、文が一番問題を起こしてるって思うけど」

「ぐっ……まあそうですが……」


文は軽く表情をひきつらせながらそう言っていた。

だが、彼女にとって椛に対する不満はそれだけではなかった。


「だいたい……椛はどこか烏天狗を見下してる感じがするんですよね……」

「? そうかしら?」

「はい。言い方がなんと言うか……」


不満そうにする文を見ながら、はたては何か考えてるようなそぶりを見せていた。


「椛はそんなこと思ってないんじゃないかな?」

「ええ〜、根拠はあるんですか?」

「まあ、私としゃべってるときは普通だもの。それに、彼女も同じことをいってたしね」

「どういうことですか?」

「文は白狼天狗を見下してるってことよ」


はたてがそう言うと、文はびっくりした目で彼女を見ていた。


「私がですか!?冗談言わないでくださいよ」

「文が白狼天狗のことを見下してないことなんて、私にはわかるわよ。でも、椛はああ見えて直感で判断しやすいから……」

「むー何でですかね……」


まるでふてくされた子供のように、文は思いっきりうなだれていた。


「大丈夫よ、椛もきっとわかってくれるときが来るわ」


はたては文にフォローを入れるように声をかけ、その場から去って行った。





現在


「……」

「……なにをぼさっとしてるんですか!」

「椛は……私が白狼天狗を見下してると……思いますか?」


急にそう言って、文は椛の前にしゃがみこんだ。

いきなり変なことを言われ呆気にとられていた椛だったが、急に表情を暗くし口を開いた。


「……はい。そう思っています」

「……なぜですか?」

「言い方ですよ!まるで私たちを全否定してるかのように……私に話しかけてるじゃないですか!それがどれだけ私を苦しめると思ってるんですか!」

「……」

「何をやってもほめようとはしない。上司だったらありがとうの一言やふたこと……!?」


パン!


気がつけば、乾いた音が周囲に大きく鳴り響いていた。

椛は一瞬なにをされたかわからなかったが、こっちを睨む文と微かに感じ始めた痛みですべてを把握した。


「……いい加減にしなさい!あなたは組織をなんだと思ってるんですか!」


椛を睨みつけた
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