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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
六話 歩み寄る事
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「っ……」
舌打ちすら聞こえそうな低い声に、一瞬ビクリと体を震わせたヴィヴィオはしかし、首をぶんっ!と一度振ると、クラナの目をまっすぐに見つめる。

「あ、あのね!来週、アインハルトさんと試合、するでしょ……?」
「…………」
「アインハルトさん、取っても強いから……今の私じゃきっと敵わないの!だから……」
そこで一瞬言葉に詰まったように言葉を停めた、ヴィヴィオはしかし、勇気を振り絞るようにしっかりとクラナの目を見て……

「来週まででいいから……私の練習……見てほしいの……!」
「っ……」
『ヴィヴィオさん……!』
「ヴィヴィオ……」
それは一体、どれほどぶりに、ヴィヴィオがクラナとの距離を明確に、一気に縮めようとした瞬間だっただろう。
反射的に、クラナは真剣そのものの、しかし目に若干の恐怖の色を浮かべたヴィヴィオの目を見返す。
この目を逸らし、腕を振り払う事は簡単だ。これまでの自分ならば、今すぐにでもそうする筈……

『[お前だって本当は……ヴィヴィオ達と笑いあってたいんだろう?]』

脳裏に、ノーヴェの言葉が反響する。
自分は、本当はどうしたいのか…………その答えは……歩み寄る事でしか……見いだせないのではあるまいか……

「腕、離せ」
「え、あ、ご、ごめんなさい!」
静かに言うと、ヴィヴィオは飛びのくように腕を離した。
そのまま振り向いたクラナの後ろ姿を見て、悲しげに眼を伏せる。

「……十五分後」
「え……?」
「庭に出ろ。練習……するぞ」
「え……」
余りにも簡潔な言葉。
それだけをのこして、彼の兄は二階へと上がって行く。しかし彼女は確かに聞いた。十五分後……

「は、はいっ!!!」
戸惑うよな、けれど最大級の笑顔で、ヴィヴィオは叫んだ。

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