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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
六話 歩み寄る事
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声が聞こえ、クラナは思考の海から意識を浮上させる。
既にアインハルトとヴィヴィオは向き合い、互いに自身の新地強化を行ったうえで、構えを取っていた。ちなみに、ヴィヴィオもアインハルトも変身は無し。10歳前半の少女だ。
「レディ……ゴー!」
開始と同時にアインハルトはその場にしっかりと踏ん張り、逆にヴィヴィオはトン、トントン、トンと、その場でステップを踏み始める。
元来、ヴィヴィオのスタイルであるノーヴェが教えるタイプのストライク・アーツは、機動性を主体とした型だ。
基本的にはステップからの踏み込みが多く、常に体を少々動かすことで、体の反応を早める効果もある。
さて、トン、トントン、トンと一定のリズムでステップを踏んでいたヴィヴィオのステップ音が、突如、タンッ!と軽快な音を立てた、と同時にヴィヴィオが姿勢を前傾形にして一気に踏み込み、姿勢を戻す要領で体もう一歩踏み込むと同時にストレートアッパーを打ち出す。
アインハルトはそれを腕を交差させ、ガードしつつ力の方向を逸らす。会場が湧いた。
『…………』
『うーむ……』
そこから一気にヴィヴィオのラッシュが始まる。
彼女らしいまっすぐな技を次々に繰り出し、時折フェイントや誘いを混ぜたうえで、鋭く早い一撃を狙う。アインハルトは一見して防戦一方だ。打ち込まれ続けるが反撃せず、徐々に後退している。しかし……
『……駄目だな』
『ですねぇ……』
ヴィヴィオの打ち込む技。その全てが、小技から大きい動作の技までべて、完璧に捌かれていた。
左からのストレートは左腕で逸らされ、右のフックは左腕で止められ、ラッシュの全てが完璧にいなされるか弾かれている。振りかぶってからの振りあげるような上段蹴りは、体を逸らすだけでかわされる。
あれだとヴィヴィオ自身は楽しいだろうが、本気の真剣勝負を望んでいるアインハルトとしては物足りないだろう。
そしてついに単純な動作からのアッパーカットをヴィヴィオが放った際、姿勢を一気に低くしたアインハルトにそれはかわされ……
そのまま懐に入った掌底が、ヴィヴィオの胴体を捕えて彼女は吹っ飛んだ。
後ろで待機していたオットーとディードに彼女の体が受け止められる。
ちなみに優に6、7メートルは飛んだが……まぁ身体強化をしているので問題ないだろう。
「魔法を使っているので」この世界では、大抵のあり得ない事象はこの一言で何とかなる。全く作者としては楽な限り……失礼。話しが逸れた。
吹っ飛んだヴィヴィオは、一瞬フルフルと細かく震えた後……パァッ!と輝くような笑顔を浮かべてアインハルトを見た。実はこれも高町家の人間の特性のひとつで、強いライバルや成長の伸びしろが有りそうな人材を見ると、どういう訳か楽しくなってしまうのだ。戦闘狂も良い所である。
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