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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
六話 歩み寄る事
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の仮説を定説に変える能力が、アインハルトにはあるようだった。

彼女の家系……所謂、覇王イングヴァルトの一族の中で、その血は徐々に薄れつつあるらしいのだが……どうやら時折それ……初代覇王の血が、濃く蘇ることがあるらしい。
身体的特徴である、碧銀の髪や、光彩異色。覇王の身体資質や、覇王流(カイザーアーツ)と呼ばれるクラウス・イングヴァルト本人が考案されたとされる古流武道の才能。

そして最も興味深い部分が……同時に、初代覇王本人の「記憶」すらも、彼女が受け継いでいるという点である。

祖先の記憶を受け継ぐ。一般的にはあり得ないとされる事だが、こう言った事例は、次元世界に置いては実は少数ながら確認されている例が有る。
ただし、そのメカニズム等は殆どが不明で、学会に置いては所謂「勘違い」や「思い込み」と言った表現によって余り注目されてはいない。

ただし、一部の学者はこう言った現象を、「遺伝子に刻まれた記憶が有る」とか、「強い思いを持つと自身の魔力にその記憶が“何らかの形”で記録され、“何らかの理由”によってその魔力資質を受けついでいる祖先にその記憶がよみがえる場合が有る」等と言った仮説を立て、それを証明しようと躍起になっている。

閑話休題(それはともかく)

そんな彼女の記憶……否。クラウス・イングヴァルトの記憶の中で、彼が悲願としていた事が有った。すなわち、“天地に覇を持って和を為せる王である”事。力を持っての平和。それをかなえる事の出来る王である事こそが「覇王」たる彼の悲願であったと言うのだ。
そしてそれは、「無念」としてアインハルトの記憶の中に残っていると言う。

これはどうした事であろうか。「覇王」として君臨し、後の世にまでその名を残した彼が、その悲願を果たせなかった無念を残し、生涯を終えたと言う。

……それは、彼が覇王と呼ばれるにいたる原因に関係している。

『勝てなかった?』
『あぁ。覇王は、聖王女には勝てなかったんだとさ』
そして、それを原因として……
クラウスは、オリヴィエよりも弱かった……強く無かったがゆえに、彼は彼女を救えなかった……守れなかったと、アインハルトは言うのである。
少なくとも彼女がそう感じていると言う事は、クラウス本人はそう感じていたと言う事だろう。
そう。クラウスにとってオリヴィエは、他に代え難い……かけがえの無い存在であり、“そうであったにも関わらず”彼は彼女を守る事が出来なかった。

故に、彼は覇王となった。
失う事をもう繰り返したくなかったが故に、全てを投げ打ち、武道にのみその身を置いて、一騎当千の力を手に入れ……しかし失ったものは戻る事は無く、そうして、彼は自身の悲願を満たすこと無く、その生涯を終えた。

『…………』
『覇王の無念はそのまま、数百年分
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