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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
六話 歩み寄る事
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「それじゃ此処に名前と……」
担当の事務局員の指示に従って、クラナは書類を書く。
現在いるのは管理局湾岸第六警防署。通称、「湾岸署」である。……?どこかで聞いたことが有る?気のせいだ。

さて、必要書類を書き終え、溜息を付きつつクラナは外に出る。朝方フェイトがスバルの家の近くまで制服などを届けてくれたため、学校に行ける準備はある。これで少し待てば開放されるだろう。その後はとりあえず学校だ。

『新学期二日目から遅刻になってしまいましたね』
『それを言うなって……』
苦笑調子に飛んできたアルからの念話を、クラナはため息交じりに返す。
扉から出ると、すぐ横の自販機の前でノーヴェが立っていた。

「よっ」
『ども』
対外的にはぺこりと頭を下げるだけで済ませたクラナだが、ノーヴェが空き缶を自販機横のごみ箱にぶち込み、少し離れた壁際の長椅子で缶を両手に抱えるようにしたアインハルトが俯いて居るのを見て、状況を察した。

『どうですか?彼女……』
「ん?あぁ……」
念話でクラナが聞くと、ノーヴェは一瞬驚いたような顔をした後、すぐに気が付いたように頷いた。

『彼奴も彼奴で……難しい問題抱えてるみてえだな……』
『……』
横目にクラナはアインハルトを見る。彼女は座りこんだまま動かず……否。此方を見た。と、ノーヴェが思い出したように言いだす。

『あぁ、そうだ。なぁクラナ』
『はい?』
表情は変えずに、念話のみで返す。

『その事でさ、お前に一つ相談が有るんだよな』
『俺に……ですか?って、彼奴の抱えてる事俺は知りませんけど……』
『あぁ。アインハルトにはちゃんと許可もらってる。あのよ……』
それからノーヴェが語ったのは、アインハルトの抱えている、彼女の宿命……とも言うべき事の話であった。

────

今より約600年前。
現代に置いて、古代ベルカ諸王戦乱期と呼ばれる時代に、武技に置いて史上最強を誇った一人の王女が居た。

その名を、オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。
後世に置いては、聖王家「最後のゆりかごの聖王」の名で知られる女性であり、クラナやノーヴェにとっては、ヴィヴィオの複製母体(オリジナル)としての印象が強い人物である。

そして、アインハルトの遥か昔の先祖である人物。

クラウス・G・S・イングヴァルト。
後の世に置いては「シュトゥラの覇王」の異名で知られ、此方も非常に武技に秀でていたと言われている王である。

さて、歴史研究の分野に置いてもこれについては諸説あるのだが、一般的に、「聖王女」と「覇王」は、親交が有った。と言うのが一つの定説とされている。これは、クラウス・イングヴァルト本人の回顧録等、幾つかの文書記録を読み解いた結果から得られた、ほぼ確定的な仮説なのだが、どうやらそ
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