暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜殺人者〜
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伏せられたフード。
だらりと垂れ下がる右手に握られるのは、まるで中華包丁のように四角く、血のように赤黒い刃を持つ大型のダガーだ。
「............《
PoH
(
プー
)
》............」
シュミットの唇から漏れたひと言は、恐怖と絶望を映して激しくわなないてた。
そのユーモラスなプレイヤーネームに反して、氷のような冷酷さのみを放射する男は、シュミットのすぐ近くまで歩み寄ってくると短く命じた。
「ひっくり返せ」
即座にジョニー・ブラックのブーツのつま先が、うつ伏せに倒れるシュミットの腹の下にこじ入れられる。ごろりと上向けにされたシュミットの顔を真上から覗き込み、黒ポンチョの男は再び声を発した。
「woa......確かに、こいつはでっかい獲物だ。DDAの幹部様じゃないか」
張りのある艶やかな美声なのに、なぜかその声には深い異質さがまとわりついている。
フードに隠れて顔は見えないが、波打つ豊かな黒髪がぱさりと一房垂れ下がり、夜風にゆらりと靡いた。
己が絶体絶命の危地にあることを認識しながらも、シュミットは思考の半分で、なぜ、どうして、と疑問詞だけを繰り返していた。
なぜこいつらが、今この場所に出現するのだ。《ラフィン・コフィン》のトップスリーと言えば、恐怖の象徴であると同時に最大級のお尋ね者であり、こんな下層のフィールドを理由もなくうろついてるはずがない。
つまりこの三人は、シュミットがここに居ることを知ったうえで襲ってきた、ということになる。
だがそれも間尺に合わない。DDAの人間には行き先を言わずに出てきたし、ヨルコとカインズが情報を流すはずもない。
そもそも、彼らは二人とも《赤眼のザザ》の針剣に威嚇され、血の気を失っている。偶然、こいつらの配下が近くのフィールドに居てシュミットたちを見かけ、上に連絡したのだとしても、出現があまりにも早過ぎる。
なんでこんなことに。何らかの事情があってこの三人が偶然この層に居合わせたという、万にひとつの巨大な不運なのか? それとも──この偶然こそが、死んだグリセルダの復讐なのか......?
丸太のように転がったまま、縺れた思考を彷徨わせるシュミットを見下ろして、PoHが小さく首を傾げた。
「さて......、イッツ・ショウ・タイム、と行きたいとこだが......どうやって遊んだもんかね」
「あれ、あれ行きましょうよヘッド」
即座にジョニー・ブラックがしゅうしゅうと甲高い声を出した。
「《殺し合って、生き残った奴だけ助けてやるぜ》ゲーム。まあ、この三人だと、ちょっとハンデつけなきゃっすけど」
「ンなこと言って、お前このあいだ結局残った奴も殺したろうがよ」
「あ、あーっ! 今それ言っ
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