暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜殺人者〜
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音クリスタルが作動中なのを承知の上で、再び告白を繰り返した。
「オレがやったのは......宿屋の、リーダーの部屋に忍び込んでポータルの出口をセーブしたことだけだ。そりゃ......受け取った金で買ったレア武器と防具のおかげで、DDAの入団基準をクリアできたのは確かだけど......」
「メモの差出人に心当たりがない、っていうのは本当なの?」
ヨルコの厳しい声に、もう一度激しく頷く。
「い、今でもまったく解らないんだ。十人のメンバーのうち、オレとあんたら、リーダーとグリムロックを除いた三人の誰かのはずだけど......その後、一度も連絡してないし......あんたらは、目星をつけてないのか?」
シュミットの問いに、ヨルコは小さく首を横に振った。
「三人全員、ギルド解散後も《黄金林檎》と同じくらいの中堅ギルドに入って、普通に生活してるわ。レア装備やプレイヤーホーム買った人は一人もいない。いきなりステップアップしたのはあなただけよ、シュミット」
「............そうか......」
シュミットは呟き、下を向いた。
グリセルダが死んだのちに、部屋に届けられていた皮袋の中の金(コル)は、当時では想像もできないほどの大金だった。
それまでは指をくわえて見ているしかなかったオークションハウスの出品リストの天辺近くに並ぶ超高性能装備を、一気に全身ぶん揃えられたほどだったのだ。
あの金を遣わずにストレージに放置しておけるとは、凄まじいと言うしかない自制心だ。いや、それ以前に──
顔を上げ、シュミットは己の苦境も一瞬忘れて、胸中に生じた疑問を口にした。
「......で、でもよ。おかしいだろ......遣わないなら、なんでリーダーを殺してまで指輪を奪う必要があったんだ............?」
虚を突かれたように、ヨルコとカインズがやや上体を引いた。
アインクラッドでは、稼いだ金をストレージに貯め続けておくことのメリットはほぼ存在しない。
1コルの価値は、カーディナルシステムの緻密なドロップレート操作によって常に等価に保たれ、インフレもデフレも起こらないからだ。遣われないコルに意味はない。つまり──
「てことは......あのメモの差出人は......」
必死に思考を回転させながら、シュミットはおぼろげに浮かびつつあった推測を口にしようとした。
しかし、意識を集中しすぎていたせいで、
そ
(
・
)
れ
(
・
)
に気付くのが遅れた。
「シュ............!」
目の前のヨルコが掠れた声を漏らしたときには、背後から回り込んできたダガーが、すと、とプレートアーマーの喉部分の隙間に潜り込んでいた。
一瞬の驚愕から、最前線でそれなりに鍛えた対応
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