第100話:若者たちの訓練について
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グ。ちょっと聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「さっきはなんで何も言わなかったの?」
真剣な表情で問うフェイトに向かって、俺は首を横に振る。
「言うことがないからだよ」
「意味がわからないよ。どういうこと?」
俺は思わずため息をつく。
「6課における訓練責任者はなのはだ。
なのはがその気になりさえすれば、ほかの人間の思惑とは関係なく
なのはの考え一つで訓練方針は決定できる。
隊内の戦闘訓練なら、計画書を出す必要もないからな。
そんな状況であんな議論をする意味があるか?」
「確かに・・・」
フェイトは小さな声でそう言うと、何かを考え始めたのか腕組みをして、
うつむき加減でテーブルの上のカップを見つめていた。
静寂の中で、俺は自分の淹れたコーヒーに手を伸ばす。
「まあ、もうそれはいいや」
急に顔をあげたフェイトは、そう言ってカップに手を伸ばした。
コーヒーをひと口飲んだフェイトは俺に目を向ける。
「でも、ちょっと意外だったかな。ゲオルグはなのはを支持すると
思ってたから」
「なんでそう思ったんだ?」
「だって、ゲオルグはなのはの婚約者じゃない」
「あのなぁ。仕事とプライベートはきちんと分けてるつもりだぞ」
「そうだよね。私も気をつけないと・・・」
「いや、フェイトはきちんと分けられてると思うぞ」
「そう?」
フェイトは少し目を見開いて、首を傾げる。
「ああ。はやてにもなのはにも、言うべきことは言ってると思うよ」
「そっか。ありがとね、ゲオルグ」
「別にお礼を言われるようなことじゃないよ。本当のことだからさ」
俺の言葉にフェイトは小さく声をあげて笑っていた。
「そういえばさ・・・」
しばらくして、ひと口コーヒーを飲んだフェイトが、柔和な表情で俺を見る。
「なのはにプロポーズしたんだよね?」
「まあな。それがどうかしたのか?」
「なのはがね、最近左手の指輪を見て、にやにや笑ってるんだよね」
「あいつは・・・」
俺は思わず頭を抱える。
「まあまあ、別にいいじゃない。
それだけ、なのはもうれしいってことなんだし。それよりも・・・」
フェイトは真剣な目で俺を見据える。
「なのはを幸せにしてあげてよね。じゃないと、私がお仕置きしに行くよ」
「わかってるよ。なのはの幸せが俺の幸福だからな。
俺は俺自身の福祉のために、なのはを幸せにするよ」
「うん。頼んだよ」
そう言って再び笑顔を見せたフェイトは、残ったコーヒーを一気に飲むと、
ソファから立ち上がった。
「そろそろ戻るよ。コーヒー、ごちそうさま」
「どういたしまし
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