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スーパーヒーロー戦記
第22話 もう一人の仮面ライダー
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駄目なら、最悪力尽くって奴かな。何にしてもそれはまだ先の話だよ」

 確かにその通りだった。今重要すべきなのはジュエルシードの捜索と封印だ。その後で取り分を決めれば間に合うだろう。暴走してからでは遅すぎるのだ。

「分かった。アルフが其処まで言うんだったら。私は良いよ」
「流石フェイト! 話が分かるぅ!」

 手を叩いて喜ぶアルフにフェイトは優しく微笑んだ。そしてクルリと向きを変えておやっさんの方を見る。

「こちらからも是非お願いします」
「そうかい、そりゃ良かった。これから宜しく頼むよ」
「いやぁ良かった良かった。これでむさ苦しい空気ともおさらば出来るってもんだ」

 滝が突然意味の分からない言葉を発してきた。それに疑念を抱いたおやっさんが滝の方を見る。

「むさ苦しいってどう言う意味だよ滝」
「だってそうでしょ? コーヒーは美味いし飯も最高。だけど持ってきてくれるのが老けたおっさんじゃぁ折角の味も台無しって奴でしょうが」
「滝……お前これからコーヒー代二倍取るからな」
「そ、そりゃ無いっすよぉおやっさぁん!」

 おやっさんの無情なる発言に泣きが入る滝。そんな滝を見て皆が声を出して笑った。何とも微笑ましい光景ではあった。そんな微笑ましい空気を破るかのように入り口の鈴が音を立てる。

「あ、いらっしゃいませ」

 フェイトが入ってきた者に声を掛ける。其処に居たのは一人の青年であった。
 下には黒の長袖シャツを着ておりその上には黄白色のジャケットとズボン、そして同じ色のニット帽を被っている。
 時代は感じられるがそれなりに派手な格好だった。本郷の服装と比べると一目瞭然である。

「おやぁ、この店はマスターしか居ないと思ったけど、随分可愛らしいウェイトレスが居るんだなぁ」
「今日雇ったんだよ。好きな席に座ってくれて構わないよ。今コーヒーを出すから」
「嫌々、折角だけど今は仕事の方を優先しないとね。噂のコーヒーはまた次回って事で」
「仕事って、君は何をしてるんだい?」

 興味をそそられたおやっさんが青年を見る。青年は律儀に懐のポケットから名刺を取り出しておやっさんに見せる。

「一文字隼人……フリーカメラマンか。にしても何だってこの店に? 特にこの店にゃ撮って売れる物なんかない筈…」

 おやっさんの言葉が其処で止まった。確かに今までのアミーゴでなら売れる物はない。が、今は恐らくある。
 今日から働いて貰う事になったフェイトもアルフも結構な美人だ。磨き上げればグラビア雑誌に載れそうな顔つきだ。

「何考えてるか分かんないけど。俺の専門は普通の新聞には載せられないような泥臭い内容が主なんでね。その手の写真が欲しかったんなら別のカメラマンに頼んで頂戴な」
「そ、そうかい…」


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