第22話 もう一人の仮面ライダー
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言い終える前であった。突如として盛大な腹の虫の音が鳴り出した。誰の音だと皆が視線を巡らす。
「滝、お前…」
「お、俺じゃないっすよ!」
「……」
皆が滝を疑う中、フェイトは一人顔を俯かせてしまった。どうやら腹の虫は彼女のようだ。
「何だ、はらぺこだったのか。よし、それなら何か食ってくと良い」
「いえ、家で食べますんで」
「まぁ、冷凍食品やインスタント食品ばっかだけどね」
アルフが笑いながら言う。だが、それを聞いた途端皆の視線がギョッとなる。特におやっさんの顔に至っては信じられないと言わんばかりであった。
「ま、まさかお嬢ちゃん。其処まで生活に困ってたのかい?」
「え? えぇっと…そうじゃなくて…」
「健気だねぇ…その若さでそんなに苦労して…くっ、世の中もまだ捨てたもんじゃないなぁ」
目に溜まった涙を強引に拭うおやっさん。そして、フェイトを席に半ば強引に座らせると壁に掛けてあったエプロンを身に付ける。
「ちょっと待ってな。すぐに何か作ってやるからさ。その間コーヒーでも飲んでてくれ」
フェイトとアルフの二人に自慢のコーヒーをそっと置いた後、おやっさんは厨房の中へと引っ込んでしまった。
フェイトは困ってしまった。本当ならすぐにでも帰ろうと思ったのあが、そんな事をすればおやっさんの好意を無駄にしてしまう。
仕方なくもう少し此処に居る事にした。
「うえぇ〜、あたしコーヒーって苦手なんだよねぇ。苦いだけだし」
アルフはおやっさんが置いていったコーヒーを見て苦い顔をしていた。どうやら以前コーヒーを飲んで何か嫌な思いでもしたのだろう。
「大丈夫だよアルフさん。立花さんの煎れてくれたコーヒーってとっても美味しいんですよぉ」
「そ、そうなのかいぃ?」
疑念を抱いたアルフがなのはを見る。なのはもまたおやっさんが煎れてくれたコーヒーを飲んでいる。しかもブラックで。
あんな幼い子でも飲めるのだからもしかしたら…カップを手に取り軽く啜ってみた。
「ん…美味い! こんな美味いコーヒー初めて飲んだよ!」
アルフの目が輝く。それに釣られてフェイトも軽く啜ってみる。
「本当だ! 美味しい…苦味もあるけどそれ以上に…何て言うのかなぁ…とっても温かい味がする」
フェイトも絶賛していた。それ程までに此処のコーヒーは美味しかったのだろう。隣で見ていた本郷もまた嬉しそうに微笑みながらコーヒーを飲んでいた。
「いやぁ、流石はおやっさんの腕前だぜ。こんな小さなお子様を虜にしちまうんだからよぉ」
滝がそう言ってると厨房から二枚の皿を持っておやっさんが出てきた。皿にはサンドイッチが盛られていた。中には多種多様な具材が詰められており見てるだけで空腹が更に倍増される
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