第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第6話 召喚事故
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が終わったら、後は何もする事がないから、このキュルケの気分も首肯けるのですが。
まして、この時間を利用して使い魔との親睦を図ると言っても、俺とタバサの間でどんな親睦を図って良いのか判りませんから。
いや、別に、ファースト・コンタクトがファースト・キスになった相手ですから、妙に意識している訳ではないですよ。
多分……。
尚、何時の間にか、現場ではルイズを揶揄していたピエールくんの召喚作業が始まっていました。
周りを半円状に取り囲むように掲げられる魔法の灯を受け、その中心に立つ闇色のマントを纏いし魔法使いの少年。確かに彼の呪文を唱える様子に、ある程度の雰囲気と言うモノは感じます。
この雰囲気と言うのは、魔法を行使する際には重要な要素と成りますからね。
独特の音楽を奏でるように呪文を唱えるピエール。
しかし、この呪文から感じる雰囲気が、何故か暗く、昏く、冥い。
……これは、少しマズイ可能性も。
「アガレス、俺に強化を。ハルファス、タバサを中心にして結界を施してくれ」
土は五行では中庸に属するはずなのですが、今、ピエールから感じているのは明らかに陰の気。
更に、現在は時間帯がマズイ。陽気溢れる春の日中から、陰の気の支配する夜へと移行する黄昏時。
そして、彼の召喚呪文が終わり、彼の目の前に、今までの他の生徒の例から考えると空中に浮かぶ鏡のような召喚ゲートが開くかと思われた瞬間……。
ピエールからねっとりとした何かが溢れだす。
それは、物質化するほどの狂気。その狂気が、呪文を紡ぎ終わったピエールの肌に纏わりつくかのように彼の身体を取り囲む……。
刹那、ピエールが爆ぜた。
そうとしか表現出来ない現象の後、彼の居たはずの場所に……。
「サラマンダー、俺の援護を!」
俺が動き出すよりも早く動き出す異形の生命体。
紫の身体を蠢かせ、ソイツは巨体に似合わない速度で動き出す。
そして、呆然と様子を見ていた女生徒の一人が、その巨体に押しかかられた。
悲鳴すら上げる事なく押し潰される女生徒。
「蜘蛛?」
女生徒を押し潰したのは蜘蛛。大きさは大体五メートルほどと言うトコロか。イボだらけになって膨らんだ身体と、剛毛を生やした長い脚。
夜の蜘蛛。コイツは厄介な相手の可能性が高い。
最早、恐慌状態に陥った中で我先に巨大なクモから逃げ出す生徒達。
その生徒達に向かって放たれる白い網……いや、巨大な蜘蛛が放つ糸。
しかし次の瞬間、その糸が空中で燃え尽きて仕舞う。
そう、サラマンダーの炎が、空中で全ての糸を燃やし尽くして仕舞ったのだ。
間に合うのか?
そう思いながら、懐に手を突っ込み、数枚のカードを掴み出
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ