第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第6話 召喚事故
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を下げ、横薙ぎに振るわれる糸の一撃を躱す才人。
その糸を一瞬の後に、ウィンディーネの冷気が凍りつかせて無力化して仕舞った。
「有った方が術の威力が上がる」
突き刺した刀を使って腹の中に直接雷を召喚するのですから、これで倒せないはずはないでしょう。
まして、木克土。土行に属する蜘蛛の魔物に木行に属する雷は効く。
才人が呪符を受け取った瞬間に作戦が始まる。
刹那、俺達を目がけて放たれる糸、糸、糸。
大きく夜空に描かれる幾何学模様。
この大きさでは、普通に回避するのは不可能。こんな奥の手を用意していたのか、この蜘蛛は。
しかし、次の瞬間、燃え上がる夜空の幾何学模様。濃い蒼に染まる空に、赤い炎が瞬間的に広がり、そして直ぐに燃え尽きて仕舞った。
蜘蛛の糸で、俺を無効化する事は式神達の魔法による援護が有る以上、ほぼ不可能。
ひたすら走り抜ける俺と才人。但し、今は先ほどまでは違う。
明確な目的を持った移動。時に止まり、反転し、そして跳ぶ。
その移動の最中に一枚の呪符を取り出し、高速詠唱で口訣を唱え、導引を結ぶ。
そして、
「才人。俺に何が起きてもヤツを倒してくれよ!」
背後にそう声を掛け、巨大蜘蛛の攻撃範囲内に侵入する。
この時、再び自分の方から蜘蛛の攻撃範囲内に入った瞬間であった。
再び、そして、今度は正面から攻撃範囲に侵入して来た俺に対して大きなスイングで右の前肢を振るう。
しかし、この右前肢は囮。本命は左。
大振りの右を難なく躱した後、素早く左下よりすくい上げるように繰り出して来た左前肢を、俺の右手内に突如現れた一振りの日本刀で刃先を滑らせるようにして頭上に逸らせる。
その刹那、俺の背後から右側を滑りこむように蜘蛛の腹の下の潜り込む才人。その際に、それまで以上に使い魔のルーンが強い輝きを発している事が判る。
その瞬間、俺の眼前に迫っていた蜘蛛の牙が俺を完全に捉える!
その感情を読ませる事のない蜘蛛の瞳が、……一瞬、嗤ったように思えた。
しかし、次の瞬間。完全に捉えたはずの蜘蛛の牙が折れ、何故か、蜘蛛の方から苦悶の叫びが上げられる。
そう。俺が施して置いた神妙鏡符が効果を発揮して、蜘蛛の攻撃をそのまま自らに返したのだ。
その瞬間、巨大蜘蛛から精霊の護りが消滅する。そして、
「木行を以て雷を呼ぶ、招雷!」
そして、俺と、才人の唱和が戦場を駆け抜けて行った。
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