Six
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『いや、それはだめだ』
『殺しさえしなきゃいいんでしょ?あの子、ここにいたって何するわけでもないじゃない。上も荷物だと思ってるんでしょ?何考えてるんだか…研究所を教会と勘違いしてんじゃないの』
『ゼロもせめて笑うなりすればな』
『やめてよ!あんな子供、何考えてるかわからないし、今更笑われたって気持ち悪いだけだわ』
『いっそ一生笑わなくしてやる?』
『いいね』
下品な笑い声が響く。
ハイエナ(イエヌ)どもの言っていることは、妥当な意見だ。無表情な子供と表情豊かな子供が並んでいたら、誰だって笑顔で駆けよってくる方がいいと思うだろう。
しかし、今度は何をされるやら。抗体がついている毒ならいいが、新薬は程ほどにして欲しい。解剖もわたしの利益にはならないから毒が望ましい。身体の中のことはどうにかなる。どうにもならなくても、どうにかしてみせる。わたしはこんなところで死ぬわけにはいかないのだから。でも腱を切られたり、顔や体がずたずたにされれば、今後に影響が出る。それはできれば避けたい。
『おい程ほどにしておけ。ゼロがここにいるのは、俺たちがどうこうできることじゃない』
『それがムカつくのよ!ルパンだって、あんな子供に…』
『おいおい、嫉妬か?まさか、子供だぞ』
『そりゃあ、ルパンは相手になんてしてないけど、ゼロは絶対に色目使ってる。許せない』
『それに、ルパンだけじゃない。エルだって』
「女冥利に尽きるな、ナーシャ?」
わたしはさすがに驚いた。耳元で男の声がする。耳元、ということはすぐ後ろに立っているということだ。黒くてごつい腕が伸びてきて、わたしの横の壁に腕をついた。全く、気がつかなかった。全く。
「チェックメイト」
笑いを含んだ声がして、男の人差し指がとん、とわたしの喉に触れた。動けない。冷や汗がどっとでる。男はさして力も入れていない風なのに、その指はどんどんわたしの喉にめり込んでゆく。呼吸が詰まる。
下から男の顎を突きあげようとしたが体制が悪くその腕をとられてしまった。とられた腕を関節を意識しながら捩じると男の手は容易に外れた。ふ、と息を突いたとき、大きな影が。
ゴガン!という音を遠くで聞いた。
「あ」
頭を石の壁に思い切りぶつけてしまった。痛い、いたい。今、わたし、どうなってる?
「やりすぎた。中の奴らも出てきそうだし、とりあえず他行くぞ」
多分、首を掴まれて、壁に、わたし、叩きつけられた、んだと、思う。まずい、目が見えない。抵抗、
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