地底からの魔手
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本郷猛が長崎においてカメレオロイドと死闘を繰り広げていた頃一文字隼人は鹿児島にいた。この地において怪人らしき者を見たという報告があったからだ。
「ここに来るのも久し振りだな」
一文字はフェリーから市内へ降り立って一言感慨深げに呟いた。彼は日本にいた頃この九州でショッカーと戦った経験があるのだ。
「あれが本郷との初めての共同戦線だったな」
彼はそう言って目を細めた。この地において彼等は死神博士の開発した強力な改造人間を力を合わせて撃破したのである。それが伝説とまで謳われたダブルライダーのはじまりであった。
港には一人の男が立っていた。黒いジャケットを着ている。こちらに背を向け煙草を吸っている。
「よお、待ったか」
一文字は男に声をかける。
「いや、丁度今来たところだ」
男は振り返り煙草を消した。男は滝和也だった。
「じゃあまずは腹ごしらえといくか」
「ああ。何処かいい店でも知っているのか」
「ああ。ストロンガーが鹿児島にはやけに詳しくてな。色々と教えてもらった」
「ストロンガーが?意外だな」
「ブラックサタンと戦っていた頃はおやっさん達と一緒に日本
全国を回っていたらしいからな。その時にここにも立ち寄ったらしいな」
「成程ね。じゃあ早速食いに行こうか」
「ああ。何がいい?」
「そうだな。黒豚のカツでも食うか」
「よし、それにしよう」
二人は頷き合いバイクに乗った。そして市内へ入っていく。
村雨はレストランを出て再び博士と共に東京へ向かっていた。夜になった。二人は邪魔にならない所にトラックを停めて休息を取っていた。
博士は身体に白衣を被せ車内で眠っている。村雨は外で一人立っていた。
もうバダンの制服は着ていない。あまりにも目立つからという理由で博士が服を買ったのだ。
緑のジャケットと白いシャツ、シャツと同じ色のスラックスを身に着けている。白いシューズを履き黒いグローブを嵌めている。その筋肉質で大きい身体が服の上からでもわかる。
組織を脱出して数日。彼は幾つかの感情を知った。
「喜び・・・・・・恐れ・・・・・・」
それは人として必要なものだという。だがそれが何故必要なのか彼にはまだよくわからない。戦うにあたって不要だから彼から削除されたのだと博士は言った。
「だがそれは間違いだ」
その時博士は彼に言った。そして博士は仮面ライダーという
バダンと戦う戦士達について語った。
「あの男達か」
彼と戦い手傷を負わせたあの男達。思えば彼等との戦いがあったからこそ今バダンから脱出したのだ。
博士は言った。彼等は自分と同じ改造人間だと。しかし心は失っていない。人を、世界を愛し正義と温もりを知る心を。だからこそ彼等は戦えるのだと。愛と正義を知る人の
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