影の男
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「いやあ済まん、急にトイレへ行きたくなってね。あれ、どうしてそこへ上がっているんだい?」
後ろのヘルダイバーの側に立つ村雨を見て言った。
「また一つ感情を知った」
それに対し答えず村雨はそう言った。
「?何だい、その感情は」
博士はそれに対して尋ねた。
「恐怖だ」
村雨は一言だけ言った。
ライダー達は日本各地へ散っていた。各地にいるであろうバダンの者達を探し出しそれを倒す為だ。彼等はアミーゴにいる立花藤兵衛や他の協力者達と連絡を取りつつ行動を展開していた。
「純子、本郷からの連絡はあったか?」
立花はアミーゴの奥に設けられた無線室で無線機の前に座る一人の女性に声を掛けた。
「はい、さっき連絡がありました。予定通り長崎に到着したそうです」
その女性は澄んだ美しい声で答えた。
この女性の名を珠純子という。見た所大学生の様である。黒いストレートの長い髪に整った可愛らしい顔立ちをしている。黄色の上着に赤いズボンを身に着けている。
デストロンに襲われているところを風見志郎に助けられた。そして彼の自宅に匿われたのだがそこで風見の両親と妹はデストロンの怪人ハサミジャガーに殺された。
自分のせいで彼の家族が殺されてしまったと思った彼女は以後彼に献身的に協力するようになる。そして彼と共にデストロンと戦うようになったのである。
彼女は普通の女性であり力は無い。だが少年仮面ライダー隊の通信係として活動しX3やライダー隊の行動を後方から支えたのであった。その貢献は大きかった。
デストロン崩壊後は普通の生活に戻った。そして大学に入り福祉を学んでいた。だが時々遊びに来ていたアミーゴでバダンの話を聞き再び協力を申し出たのだ。可憐で心優しいが芯の強い女性である。
「今長崎の市内にいるそうです。これから捜査を開始するとか」
「そうか、やっと着いたか」
立花はその報告を聞き嬉しそうに言った。
「隼人も九州だったよな」
「はい、鹿児島です」
「そうか、二人で九州を頼むと伝えておいてくれ」
「はい」
純子は笑顔で答えた。
「解かりました。それでは今から捜査を開始します」
純子からの声を聞いて本郷は携帯を切った。そしてそれをポケットに入れた。
「さて、ここにいると見たが」
本郷は長崎の駅前から市内を見た。その下には路面電車が走っている。
この街は江戸時代より貿易で栄えた。出島がありオランダや清の商人達が常に出入りしていた。当時から異国情緒が強い町であった。
それは幕末や明治になっても変わらなかった。グラバー氏がこの街に居を構えそこに尊皇の志士や商人達が出入りした。
そしてイタリアの作曲家プッチーニはこの街を舞台にしたオペラ『蝶々夫人』を作曲している。
貿易の
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