影の男
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お縄にかかっちまうぜ」
彼等とは別のサングラスの男が言った。
「そうだぜ、御前もムショで臭い飯は食いたかねえだろ」
「ムショか・・・・・・。それは嫌だな」
髭は思い直した。何や嫌な思い出でもあるのだろうか。
「じゃあ早速ワイヤー切って持って行こうぜ。カッター持ってるよな」
「ああ、ここに」
そしてワイヤーを切ろうとしたその時だった。後ろから不意に声がした。
「何をしている」
それは村雨だった。ヘルダイバーの側に立ち表情を変えず男達を見下ろしている。
「な、何だこいつ何時の間に・・・・・・」
その上背と全身から発される妙な威圧感に男達は気圧されていた。
「何をしているのだ」
村雨は表情も変えず声にも抑揚が無い。それが男達にとっては一層不気味であった。
「野郎っ」
サングラスの男が殴り掛かる。だがそれは手の平で受けられてしまった。
そして村雨はそれを後ろへ投げる。サングラスは背中から地面へ叩き付けられた。
「な、こいつかなり強いぜ」
男達は怯んだ。完全に怖気付いていた。
だがここで逃げるのも癪だった。茶髪の男が懐から何かを取り出した。
「じゃあこいつでどうだ」
それはナイフだった。恐怖震えそうになる手を必死で押さえている。
「ふん、逃げるならいまのうちだぜ」
茶髪は内心村雨から発される威圧感に怯えながらもやせ我慢をして言った。だがそれに対し村雨は相変わらずの無表情で言った。
「それはナイフか」
全く動じている様子は無い。ただその震えそうになっている手を見ている。
「て、てめえこれを見て怖くは無いのかよ」
「怖い・・・・・・それも感情の一つなのか」
村雨は彼を見て言った。
「今の御前の状態がそうか」
村雨は素っ気無く言った。その通りであったがそれにより茶髪っは感情を爆発させた。
「てめえっ!」
ナイフを振りかざす。そしてそれを村雨に突き立てようとする。
だがむらさめはそれを掴んだ。ナイフを持つその手ではない。ナイフの刀身をである。
「なっ・・・・・・!」
これには一同目をむいた。ナイフの刀身を掴んだだけでなくそこから血が一滴も流れないからだ。
村雨はナイフの刀身を掴む手に力を入れた。するとそれは粉々に砕け散った。
「な、ななな・・・・・・・・・」
砂粒の様に落ちるその銀を見て男達は驚愕した。かろうじて失禁こそしなかったものの最早恐怖は隠せなかった。
「に、逃げろ化け物だっ!」
「お、俺を置いていかないでくれよっ!」
男達は逃げ出した。先程村雨が投げ飛ばしたサングラスの男も起き上がりその後を追いかけて行く。
「あれが恐怖というものか」
村雨は男達を見送りながら言った。そこへ博士がやって来た。
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