影の男
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刎ねようとする。
だがライダーはそれをしゃがんでかわした。そして怪人のガラ空きとなった足下を蹴りで払う。
「うわっ!」
怪人は転んだ。倒れる怪人を見てライダーは勝機を悟った。
「今だっ!」
ライダーは跳んだ。そして空中でその身体を楔状激しく回転させる。
「ライダァーーーーッスクリューーーーーキィーーーーーック!!」
高速回転しながら蹴りを放つ。それはようやく起き上がったばかりの怪人の胸を直撃した。
「ガハァッ!」
その蹴りを受け再び倒れる。だがまた起き上がってきた。
「何ッ、あの技を受けて立ち上がるとは」
これにはライダーも驚いた。だが怪人は最早立っているのがやっとだった。
「見事だ、ライダー。よくぞこの私を倒した」
カメレオロイドは人の姿に戻りながらライダーに言った。
「この長崎での作戦は失敗だ。私は貴様に敗れたのだからな」
「カメレオロイド・・・・・・」
怪人とはいえ見事な潔さであった。
「だが覚えておくがいい。最後に勝つのは我がバダンだ。そして私はいずれ甦り再び貴様等の前に現われるだろう」
そう言うと天高く跳んだ。
「その日までさらばだ。偉大なるバダンの首領に栄光あれーーーーっ!」
カメレオロイドは空中で四散した。欠片がパラパラと落ちて来る。
「バダン怪人軍団・・・・・・。恐ろしい奴等だ」
爆発と砕け散った強敵を見上げながらライダーは呟いた。
カメレオロイドとの決戦を終えた本郷は船の中にいた。今出港を告げる汽笛が鳴った。
「今度は沖縄ね」
傍らにいるルリ子が尋ねた。
「ああ。あの地でもバダンが何かと暗躍しているらしい。おやっさんから連絡があった」
「そう。おじさんも相変わらずお元気みたいね」
「おいおい、何を言うんだ。おやっさんはまだそんな歳じゃないぞ」
ルリ子に対して笑って言った。
「あれっ、そうだったの?もうお孫さんがいるようなお歳だと思っていたけれど」
「まあ外見はそうだけれどね。まだまだ充分にやっていけるよ」
「そうだったの。なんか大分御会いしていないから忘れちゃったわ」
「ルリ子さんは滅多に日本に帰って来れないからね。仕方ないか」
「けれどいいわ。この戦いが終わったら久し振りにアミーゴへ行くつもりだし」
ルリ子は笑って言った。
「うん、是非そうした方がいい」
本郷は微笑んで頷いた。
船が動きはじめる。二人は話を止め海の方へ顔を向けた。
目の前に青いサファイアを溶かしたような海が広がっている。二人は束の間の休息を楽しみながらその美しい海を
眺めていた。そして新たな戦場に向かうのであった。
影の男 完
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