影の男
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じています」
「確かにね。そして全てが終わったら笑顔でここに来ますよ。全員で、戦いが終わった事を伝えに」
「そしてその為にはわし等も働かなくてはいけませんな」
「勿論ですよ、なあ滝」
「ええ、おやっさん」
滝は笑って答えた。
「御前もそろそろ行くんだろう?本郷達を助けに」
「当然ですよ、その為にここにいるんですから」
そう言うと壁に架けられているヘルメットを手に取った。
「時々コーヒーをご馳走になりに帰って来ますけれどその時はよろしく。美味いのを頼みますよ」
「おい、それじゃあわしのコーヒーは普段はまずいみたいじゃないか」
少し口を尖らせて言った。口調は少し怒っているように見せているがそれだけである。顔はにこやかである。
「ははは。まあ頼みますよ」
「おう、その事は安心して言って来い」
滝も店を出た。がんがんじいや役もそれに続く。
「皆、勝って来いよ」
立花はまた呟いた。暖かさの中に僅かばかりの寂寥が混ざっていた。
白人の男達や三影との対峙を切り抜けたゼクロスと伊藤博士は東京へ向かっていた。行く先は城南大学である。
すでにゼクロスは変身を解いていた。ヘルダイバーも外見は普通のバイクになっていた。
「変形も出来るのか」
「ああ。普段は目立ってしょうがないだろ。だから普段は通常のバイクと変わらない外見になれるようにしておいたんだ」
博士は彼に言った。彼はバイクから降りて軽トラックを運転している。
村雨は博士の隣にいた。マシンは後ろに縛られて積まれている。
「それにしても運が良かったよ。このトラックをレンタルする事が出来たんだからな」
「運が・・・いいのか」
村雨は相変わらず抑揚の無い声で尋ねた。
「ああそりゃあね。街でバイクの二人乗りをするわけにもいかないだろう」
「そうなのか」
村雨は了承した。
「ああ。他にもやっちゃいけない事はたくさんある。まあ一つずつ憶えていけばいいさ」
博士は優しく説き聞かす様に言った。
二人はトラックを止めレストランに入った。そしてそこで食事を摂った。
「どうだ、美味しいかね」
博士はペンネマカロニのグラタンを食べながら尋ねた。
「美味しい・・・・・・何だそれは」
鶏肉のステーキを前にして彼は言った。
「その食べ物の味が気に入ったかどうかだよ。まあ一口食べてみたまえ」
「ああ」
フォークとナイフを使い肉を一切れ口に入れた。肉汁とソースが絶妙に絡み合っている。
村雨はそれを噛んだ。そしてそれを喉に流し込んだ。
「どうかね、その料理の味は気に入ったかね」
「・・・・・・ああ。気に入った」
彼はフォークとナイフを操る手を止めて言った。
「そうか。それが美味しい、という
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