第十一話 聖杯の場所その八
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「何でここにいるのよ」
「どうしてここに!?」
「どうしてもこうしてもじゃないわよ」
七海も彼女達に突っ込みを入れる。
「あのね、大体何であんた達がここに?」
「やっと明日香に着いたのよ」
「それでこの旅館で英気を養ってるのよ」
そうだというのだ。
「もうね。全然大変だったんだから」
「本当にね」
「大変って」
「何やってたんだ?一体」
「歩いてここまで来たのよ」
「バスも使ってね」
二人は聞かれもしないのにその事情を言ってきた。
「全く。えらいことになったんだから」
「何でこんな辺鄙な場所にあるのよ、明日香って」
「っていうか奈良から歩いて来た!?」
「どうしてそうなったの?」
「流れでよ」
「そうよ。悪い?」
戦隊の面々の問いにふてくされた顔で返す二人だった。
「全く。何かよくわからないけれど」
「電車には乗らないことになって」
「訳わかんねえ」
「頭が悪いのはわかるけれど」
「ちょっとそこ」
フラビージョはむくれた顔で美羽も言う。
「私達が馬鹿だっていうの?」
「その言葉訂正しなさい」
ウェンディーヌも言う。しかしこのことには誰もが言うのだった。
「いや、流石にそれは」
「誰がどう見ても」
「そうとしか」
少なくとも嘘は言わない彼等だった。流石に正義を言うだけはある。しかもこれは傍目から見てもそうとしか言えないものでもあった。
「そうよね、やっぱり」
「何でそんなことになったんだ?」
「無茶苦茶っていうか」
「そんなことがわかれば苦労しないわよ」
「そうよ」
しかも二人共わかっていなかった。自分達で。
「気付いたらそうなってたし」
「おかげでくたくたよ」
「それはわかったけれどな」
吼太はとりあえず話は聞いた。
「しかしだ」
「ええ、しかし」
「今度は何?」
「まさかここで戦うとかいうんじゃないだろうな」
彼が言うのはこのことだった。
「それはないな」
「悪いけれど今はもうへとへとなのよ」
「そっちがしてくるのなら別だけれどね」
「それにもうお風呂も入ったし」
「汗をかくことはしたくないわ」
実にいい加減な返答だった。それをあえて言ってくるところが彼女達ではある。
「そういうことだからね。一時休戦よ」
「戦いは明日からよ」
「どうする?こんなこと言ってるけれどな」
康介は彼等の言葉を聞いてからあらためて一同に問う。
「戦わないか?やっぱり」
「別にいいんじゃないの?」
七海にはそのつもりはなかった。
「お酒入ってるし。今戦ってもね」
「まずいよね。菜月ちゃん飲み過ぎちゃった」
菜月の顔も手も真っ赤である。襟元までだ。
「こんなので戦ったらそれこそ」
「菜月は飲み過ぎです」
さくらが彼女の横
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