脱出
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されているからな」
三影はそう言うとサングラスを取った。細く鋭い眼が現われた。
ただしそれは左だけである。右目は義眼であった。黒い中に白い球がある。
否、それは義眼ではなかった。普通の眼と同じ様に動いている。どうやら機械の眼らしい。
「あの時御前を助けた時に失くしたこの右目の事も忘れたのか」
「右目・・・・・・・・・」
ゼクロスはその冷たい光を放つ眼を見て呟いた。
「仕方が無いか。御前は最早人ではなく完全な機械なのだからな」
「機械・・・・・・俺が・・・・・・・・・」
その言葉にゼクロスは微妙に反応した。
「馬鹿を言え!彼は人間だ!」
博士が反論する。だがそれは三影の言葉により打ち消された。
「脳だけはな。だが心の無いこいつの何処が人間だというのだ」
「何っ・・・・・・」
博士は言い返そうとする。だがそれより前にゼクロスは言った。
「違う。俺は人間だ。博士の言う通り俺は人間だ」
「何っ!?」
その言葉に三影の左眉がピクリ、と動いた。
「人間だというのか。御前は自分をあの弱くて愚かな人間だと」
左眼に冷たい光が宿る。白く冷たい息を吐いた。
「そうだ。弱くて愚かかどうかは知らないが俺は人間だ」
ゼクロスは更に言った。その言葉に三影は顔を伏せた。そして再びサングラスをかけた。
「伊藤博士、余計な事を吹き込んでくれたな。そもそも感情を一切持たぬこいつが言葉を話すこと事態おかしいとは思っていたのだが」
後ろに跳んだ。そして間合いを取った。
「再び改造しなくてはならないな。それも徹底的に感情を消して」
全身を白い瘴気が包む。彼もまた人にあらざる者に変わろうとしている。
その彼を一発の銃弾が襲った。散弾銃だ。流石に変身中では耐えられず後ろに吹き飛ばされる。
「ぐふぅっ・・・・・・・・・」
それでも起き上がった。だが口から血を吐く。どうやら肋骨が数本折れているようだ。
「おのれっ、誰だ」
上の方を見回す。サングラスを外し右の機械の眼で見回す。
だが誰もいなかった。それを確認し三影は舌打ちした。
「・・・・・・ライダーではないようだな。だとすれば一体誰だ、この俺に直撃を浴びせてくれるとは」
胸を押さえつつ起き上がった。そしてゼクロスの方を見る。
「ゼクロス、いや村雨良。今は行かせてやる」
胸を鈍い激痛が襲う。それにより身を屈めるが気力で上体を起こした。
「だが忘れるな。貴様はバダンに帰る宿命なのだ。それが貴様の定められた運命だ」
三影はそう言い残すと姿を消した。
「運命・・・・・・・・・」
ゼクロスは三影が言ったその言葉を反芻した。
「気にするな。運命は自分で切り開くものだ」
博士はゼクロスに対し首を横に振りつつ言
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