脱出
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男達は笑った。その口が三日月の様に禍々しい形になる。
「我がバダンは戦いと流血により全てを生み出します。ゴミ達も我等の糧となり満足して死ねるでしょう。そう、そこにいるゼクロスの姉の様にね」
「き、貴様が殺したというのに・・・・・・・・・。貴様はそれでも人間か!」
「人間!?何ですかその貧弱で愚かな生物は」
男が手を動かした。その手の影が映る。それは人のものではなかった。
「我等は選ばれし人を超えた存在。二度とその様な下等生物などと一緒にしないで欲しいですね」
その右手から槍を浮かび上がらせた。それを博士の足下へ投げる。
「くっ・・・・・・!」
博士は男を睨み付けた。だが男はそれに怯んだり悪びれる様子もない。ただ侮蔑と嘲笑をたたえた笑みで見下ろしているだけである。それが人を超えた者の余裕であろうか。
「最後にもう一度だけお聞きします。我等と一緒にバダンへ帰って頂きますか?」
後ろの者達が降り立った。そしてゼクロスと博士の周りを取り囲む。
「・・・・・・何度聞いても無駄だ。断る!」
「俺は貴様等の言いなりにはならん」
二人は言った。博士は怒りで身体を震わせつつ、ゼクロスは感情の無い声で。
「・・・・・・それでは仕方がありませんね」
男は笑った。その気が異様に高まっていく。
「無理にでも連れて帰らせて頂きますか」
男の姿が徐々に人でないものに変わっていく。他の者も同じだ。
「待ってくれ」
その時声がした。左手の岩山の上からだ。
「むっ!?」
男達が変身を止めた。そして左の方を見上げる。
「三影・・・・・・・・・」
そこには一人の長身の男がいた。皮の黒いジャンパーと黒いズボンを身に着けた黒ずくめの男である。髪はリーゼントにしサングラスをかけている。
口には煙草を咥えている。それを指で投げ捨てると黒の革靴で踏んで消した。
一見すると昔のロックンローラーの様だが雰囲気が違う。まるで獣、それも巨大な虎や豹の様な殺気を全身から出している。
「悪いがここは俺に任せてくれ。元々俺はこいつと共に行動する予定だったしな」
「むうう・・・・・・」
男は表情を曇らせた。何か不満があるらしい。
「わかりました」
男は納得した。そしてその殺気を収めた。
「ゼクロスと博士の事は貴方にお任せしましょう。是非とも連れて帰るように」
そう言うと右手を上げた。その足下から姿が消えていく。
他の者達も同じだった。そしてその姿を完全に消した。
「帰ったか。これで邪魔者はいなくなった」
先程三影と呼ばれた男はゼクロスと博士に向き直った。
「ゼクロス、いや村雨よ久し振りだな」
「お前は・・・・・・・・・」
ゼクロスは尋ねた。
「憶えていないか。記憶を消去
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