第十一話 聖杯の場所その六
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その面々がその猿そのものの遺跡の周りと遺跡自体を調べてそのうえで話をしている。
「ここにもないな」
「そうね」
「何か何処にもない」
こう話していくのだった。
「本当に聖杯ってここにあるの?」
「別の明日香とかじゃないよな」
「それはないのでございます」
マンドラゴラが彼等の周りを飛び回りながら話す。
「間違いなくこの明日香にあるのでございます」
「けれど今のところ全然見つかってないじゃないか」
魁が猿石本体をぺちぺちと触りながら言葉を返した。
「本当にこの明日香にあるの?」
「安心するでございます。あるのでございます」
「そう。だったら芳香ちゃんも探すけれど」
芳香は周りをあれこれと見ている。
「けれど何処にもないのね」
「魔法を使うか」
薪人はここでふとこう言った。
「それで探すか?」
「いい考えだけれどそれはどうかな」
しかしここで光が首を傾げながら返してきた。
「普通のものならともかく。聖杯になるとね」
「それは無理なのね」
「聖杯の力はそれこそこの世を救えるだけのものだから」
こう麗にも話す。
「だからね。そう簡単には見つからないよ」
「そうなのね。じゃあ地道に探すしかないのね」
麗はこれで納得した。
「やっぱり」
「結局ここにはないな」
翼が屈んだ姿勢から立ち上がって言った。
「別の場所を回るか」
「向こうからシンケンジャーの連中が来たぜ」
ここでスモーキーもランプの中から言ってきた。
「交代だな」
「シンケンジャーが見つけてくれればいいけれどな」
魁はそのやって来る彼等を見ながら呟く。
「そうなればいいんだけれど」
「まあ僕達は僕達で探していこう」
ヒカルは穏やかな笑みと共にこう述べた。
「今はね」
「そうね。じゃあ行くか」
芳香と薪人が応えてだ。そのうえで次の場所に向かう。皆こうしてその日はずっと明日香中を巡った。だがそれでも影も形も見当たらなかった。
「何か全然見つからないな」
「そうよね」
「何処にあるのよ」
皆ある旅館の中であれこれと話している。それぞれ浴衣を着て夕食を食べながらだ。座布団の上に座り酒やジュースを飲みながら話している。
「この明日香にあるっていうけれど」
「全然ないし」
「全く」
「まあ落ち着いて探せばいいですよ」
介さんは困っている彼等ににこやかに笑って声をかけた。
「根気よく探せば必ず見つかります」
「根気よくですか」
「じゃあ明日も明日香中を巡り回って」
「そうしてなんですね」
「はい、頑張りましょう」
困っている彼等を癒す笑みだった。
「明日も。そして今は」
「今は?」
「どうするんですか?」
「楽しみましょう」
そうするというのである。
「今は」
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