第55話 =黒幕の正体=
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、3人と1匹にさらに力が加わったのか、その全員の筋力値が俺に付加されたのかは知らないけどジリジリと
押し返し始めてきていた。それと…戦場ではなかなか得ることのない安心感も。
「……だな……負けて……たまるかぁぁ!!!」
渾身の力を使い外側へその鎌を弾き飛ばす。
「あの鎌は俺たちが受けきってみせる!!……行け!!キリト、アスナ!!」
そして託す……あの最強の夫婦なら何とかしてくれるだろう…俺は俺に出来ることをやるだけだ!
「……赤信号、皆で渡れば怖くない…てか…」
昔、どこかで聞いたことのある言葉をふと、今思い出した。そんなたいした意味なんて無かったはずだけどな…
「…サチ、シリカ、ユカ…それにピナも……生きるぞ!!」
「うん!」「はい!」「えぇ!」「キュー!!」
皆ならアイツの攻撃なんて全部防ぎきれる…。確信なんて無いけどう自然とそう思えていた…。
―――――――――――――――――――――
あの百足がポリゴンとなり消滅するのがわかった瞬間、喜びの声を上げる間もなく俺の体は地面へと吸い寄せられるかのように倒れていった。隣ではサチがヘナヘナと座り込んでいる。
「……死、死ぬかと……思った…」
「ほんと…だね……」
今回の戦いはあまりにも激戦だったせいかあまり記憶には残っていない。ただ覚えてるのはとにかく鎌を防御し続けたり鎌の標的となった他のプレイヤーの盾になったりとバリバリ壁役をやっていたことくらいか…。
「……無茶しすぎ…とは、怒れないわね…」
「…それくらい…しないと……無理でしたよ……」
シリカの声にピナも力なく地面へへばりついている。俺たちのHPバーは揃って赤色、使い魔でHPを回復させる《ヒールブレス》を扱えるピナでさえあと一撃、誰かから攻撃を食らったら小さな羽根へと姿を変えるだろう。
今回俺たちは《共鳴》を使っていない。なぜならあれの欠点は少しの動作でもソードスキルが発生し攻撃に転じてしまうから。
そのせいで死にかけたこと…はさすがにないが少々危なくなったことは結構ある。
「……アスナは!?」
気持ちの整理が落ち着いたのかユカは大事な妹の名前を叫び辺りを見渡していた。さすがにやられた、なんて考えたくもないけど気になって俺も捜してみる。すると、結構近くでキリトとアスナで背中をあわせて座り込んでいた。
「…大丈夫、あそこにいる…」
そう指を向けるとあの戦いの疲れはどこにいったのか…よろよろと立って歩き出しアスナに飛びつくユカが。その飛びつかれたアスナは「やめてよ」と言いながらもそれをうれしがっている様子だ。
「……大丈夫か、キリト」
「まぁな……そっちは…」
「大丈夫、全員無事」
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