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とある組織の空気砲弾(ショットガン)
第一話 通りすがりのお義兄(にい)さんだよ
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へと消えた。

 その“鮮やかな緋色”の腕章とともに。


 ここはとある町の一角。完全下校時間を過ぎているため人の姿もまばらである。
 しかし、すべての学生が皆揃ってこの規則に従っている訳ではない。
 寮に帰ったら冷蔵庫が空だ。よしコンビニに行こう。
 ノートがない…。シャーペンの芯がない…。なら話は簡単だ。コンビニに行(ry
 いざって時に財布に現金がない…。そんな皆の救世主! 銀行なんざ古臭い!! 今の時代はATM! という訳だ、今すぐコン(ry

 これらは例の一部である。厳しい所では門限なんてものまである。
 そこは学生。青春を謳歌したいお年頃。時間を忘れて遊び歩いているかもしれない。
 これも例の一部。
 だが先にも言ったがすべての学生が規則を守っているとは言えない。厳密に言えば、この町はとても治安が良いとは言えない。
 だから、

「キャァァァーー!!」

 こんなことが起きても不思議ではないのだ。

 本道から脇道に一本逸れた場所。裏路地と呼ぶべきそこは、人目に付きにくく、普通の人間なら好きこのんで足を踏み入れようとしない。
 絹を裂く様な悲鳴。誰かの耳に届いているかどうかは解らないが、確かに響いた。
 そこには一人の女子学生を囲む三人のチンピラ風の男達。その傍で冷たいコンクリートに這い蹲る男子学生。その背中には仲間であろうスキンヘッドの大男。どうやらカップルが被害にあったらしい。

「なぁ、そんなつまんねー野郎なんかよりオレ達と遊ぼーぜ」

「そうそう。損はさせね〜からよ」

「シシシっ!」

 男達は下卑た笑いを浮かべる。それが更に恐怖心を煽る。

「ぁ…、ぁ…!」

 さっきの悲鳴は振り絞ってようやく出たたった一回のもの。恐怖で足が竦み、震えが止まらない。
 それでも、倒されている彼が心配でならない。強くもないのに必死で自分を守ろうとした彼は、数の暴力に屈した。

「ゃ…め…」

「あぁ?」

 それでも彼は彼女を守ろうともがく。見っとも無い姿だろう。それでも、彼はもがき続ける。

「お〜カッコイー。え、何?まだ頑張っちゃうわけ?」

「泣かせるじゃねーの(笑)」

「シシシシっ!」

 男達にとっては楽しくて、おかしくてしかたなかった。自分達が強者になったことに酔っていた。
 この往生際の悪い男子学生にスキンヘッドの大男は、

「……うるさい」

 その一言とともに自分が下敷きにしている男子学生の髪を無造作に掴み、勢いよくコンクリートの地面に叩き付けた。

「がっ…!!」

 それから、男子学生は動かなくなった。それを目の当たりにした彼女の顔はみるみる青ざめていく。それでも声が出なかった。

「はい残念賞。次の機会
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