第一部
バカンス
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伊織魔殺商会。
言わずと知れた日本のカンピオーネの一人、名護屋河鈴蘭の魔術結社である。三月にあった、鈴蘭王とサルバトーレ卿の戦闘から二ヶ月たった現在、この商会は世界の裏に生息する者たちにとって、無視出来ない程の重要性を持つまでに至っていた。
それは、件のカンピオーネ、名護屋河鈴蘭の持つ権能のためだ。
あの戦いのあと、すぐに鈴蘭は自身の情報を賢人議会に売りつけた。お値段は十億円。本当なら自力で調べたかった賢人議会であったが、彼らのガードは固く、どんな方法でも情報を入手することは出来なかったのだ。鈴蘭自身が直接賢人議会の本拠地に空間転移してきて、『私の権能の情報、いくらで買ってくれる?』と威圧感タップリにニヤリと笑いながら言われたら仕方がない。
カンピオーネが直接交渉しにきているのに追い返す訳にもいかないし、かと言って、下手に安い値段を提示すれば、『私の情報ってそんなに安いんだ?ふ〜ん・・・』などと脅してくるのだ。哀れにもその交渉を担当した者が、泣きながらも、提示出来るギリギリのラインである十億円で納得してもらったのである。
・・・だがしかし、彼女の本当の目的は、たった十億円などというはした金ではなかったのである!
数日後、賢人議会が鈴蘭の権能【無限なるもの】の情報を世界中に公開するのと同時に、彼女は世界各地の魔術結社に対してカタログを送りつけた。
キャッチコピーは、『ライバルに差をつけたくないですか?』
其処に記されていたのは、オリハルコン・ホーリーミスリル・ダスマスカス鋼・ヒヒイロカネetc・・・伝説中の伝説な金属で出来た武具の数々。更には、世界樹の枝など、魔術師が血涙を流して欲しがるような物ばかりだったのだ。
当然ながらお値段はバカ高い。一流の魔術結社なら一点。超一流の魔術結社ですら、二点買えるかどうかという値段だった。しかし、賢人議会によって発行された鈴蘭王の権能を考えれば、本物なのは確実であった為、世界中から注文が殺到したのだ。瞬く間に、伊織魔殺商会のオーダーメイド商品を持っているという事は、一種のステータスになってしまった。
哀れ、賢人議会は伊織魔殺商会が世界に進出するためのダシにされてしまったのである。
完全受注生産限定で、一点一点デザインも素材も違うオーダーメイド。神話に出てくるような武具たちが、自分がデザインした姿で生まれてくるのだ。世界にたった一つの一点もの。人気が出ないわけがなかった。
材料により値段は変わってくる。ホーリーミスリルなどが最低価格で、最高価格はオリハルコンやヒヒイロカネ。正直、オリハルコンなどは、一体誰が買えるんだよ!?と突っ込みたいくらいのお値段であっ
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