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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十五話 ユイ
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を探そうぜ、見つかったらきっとすぐに良くなるさ」
 ミズキの明るい言葉に励まされたようにアスナは弱く微笑んだ。

 ミズキが一旦開いたストレージを閉じるのを見て、マルバはふと気になって尋ねた。
「ねえ、ミズキ。今更だけどさ、さっきの本って何なの? 計画立てたりすると必ず書き込んでるよね」
「ああ? あれか? あれは……うん、日記みたいなもんだ」
 ミズキは一瞬アイリアと顔を見合わせると、言いにくそうにそう答えた。
「みたいなものって……なんか曖昧だね」
「自分でもあの本をなんて呼びゃあいいのか良く分からねぇんだよ」
「ふうん……変なの」

「ねぇ、おぃちゃん」
 透んだ高い声で呼びかけられ、ミズキは一瞬戸惑った。見下ろすと、呼びかけたのは他でもないユイだった。
「おいちゃんって……俺のことか?」
「うん」
「俺、23だぜ? おじちゃんはねぇだろ」
「おぃちゃん……どうしたの?」
「どうしたのって、どうもしてねぇけど?」
「ううん、そんなことない。とってもいたそう。おぃちゃん、いたそう」
「痛そう……って、まさか、お前……!?」
 ミズキがいきなり椅子から身を起こすと、切羽詰まったようにユイに尋ねた。
「お前、分かるのか? 俺がどうなってるのか、分かるのか!?」
「わかる。ユイ、わかるよ。おぃちゃん、だいじょぶなの?」
「こいつ……ッ! 何者だ……?」
「おぃちゃん、おこってるの? それとも、こまってるの? ユイ、いやなこといった?」
「っ……! いや、なんでもねぇ。心配してくれて、ありがとな」
 ミズキがユイの頭をぽんぽんと叩くと、ユイは嬉しそうに目を細めた。

「よし! 始まりの街、行こうぜ」
「始まりの街? またなんで」
「始まりの街の教会でさ、ナーヴギアの年齢制限以下みたいな小さな子供の面倒を見てる人がいるらしいんだ。サーシャっていうらしい。もしかしたら、ユイの親について知ってるかもしれねぇだろ? な?」
「ああ、そうだね。始まりの街なら人も多いし、知ってる人もいるかもしれない。決まりだな」

 全員が出発の支度を始めた。圏外を通るため念のため武器を装備する。寒いといけないからアスナがユイに服を着せようとして、ユイのメインメニューが開かないことに気づいた。
 ユイは自分だけメニューを開けないことが不満だったらしい。ムキになって右手を何度も振り、そして今度は左手で同じ動きをした。その瞬間、メニュー画面が鈴の音と共に開いた。
「左手でメニューを開くなんて……ユイちゃん、ちょっとごめんね」
 開かれたメニューは見えないが、アスナが勘で視覚化のボタンを押して見えるようにした。その瞬間、その場の全員がそのメニューを見て愕然とした。
「バカな……HPゲージが、ない……?」
「それだけじゃな
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