■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十五話 ユイ
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の?」
「キリト夫妻をからかいにきました」
「からかいって……はぁ、悪いけどちょっと忙しいの、また今度にしてくれない?」
「一昨日店に来た時、休暇をとったからギルドの用事はないって言ってなかった?」
「う……確かにそうだけど……」
なにかを言い渋っているアスナに助け舟をだすように、キリトが口を開いた。
「アスナ、無駄だよ。いつまでも隠しておけるわけじゃない。それにこいつらなら話しても大丈夫だろう」
「……それもそうね。みんな、入って。ちょっと話しておきたいことがあるの」
家の中、食卓の前に座る幼い少女を見て、皆は凍りついた。
「キリト、この子は?」
恐る恐る尋ねたマルバに対して、キリトは言いにくそうにこう言った。
「……娘だ、俺とアスナの」
えええええええぇぇ!? と皆叫びそうになるが、目の前の不安そうな少女を怖がらせないようになんとか口に出さずに抑えこんだ。
キリトとアスナの話を聞き、マルバたちは一体どうして二人が少女を連れているのか理解する。キリトたちの言うとおり、確かに目の前の少女にはカーソルが表示されていない。
マルバとシリカはとりあえず少女――ユイという名らしい――に自己紹介した。
「ユイ、僕はマルバっていうんだ。よろしくね」
「わたしはシリカです。ユイちゃん、よろしく!」
「あうば……? しいか……?」
ユイはたどたどしい言葉で聞き返した。
「あはは、難しいか。好きなように呼んでくれればいいよ」
「あうばは……にぃ。しいかは……ねぇ」
「ふふ、にぃ、かぁ。妹がもう一人できた気分だなぁ」
「これは妙だな……」
ミズキは納得がいかない顔で呟いた。
「確かに変だね。カーソルが表示されないなんて……それに、この子、幼な過ぎない?」
「それだけじゃないです。十二歳くらいに見えますけど、話し方は五歳かそこらですよ?」
「まさか、精神にダメージを……?」
アスナの疑問に、ミズキは分厚い書籍アイテムをストレージから一瞬で取り出した。検索窓を開くと、それを見ながら答える。マルバはその早業に少し驚き、すぐに以前見た時も同じように驚いたことを思い出した。恐らくクイックチェンジを使ったのだろう。
「あり得るな。しかし、精神的な言語障害っつーのはまずあり得ねぇんだ。言語障害っつーのは言語野に衝撃が加わって起こることだからな。心因性の言語障害っつーと多いのは吃音とか失語症とかだな。でもこいつ……ユイには吃音は見られないし、かといってぜんぜん喋れないわけでもねぇ。きっと言語だけじゃない、精神全体が退行してんだ」
「なんて……こと……」
ミズキは書籍アイテムをストレージに放り込むと、アスナを励ますように言った。
「まあまあ、意識障害ってのは案外あっさり治ることもあるんだ。こいつの親
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