琴浦幻憑記
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くらいの少女のタックルというものは地味に痛い。
相手も威力は考えてやってはいるみたいだが、それでもこれとは妖怪恐るべし。
それとも自分も妖怪だから丈夫なのだろうか。
(お姉ちゃんが死んだら……私寂しいもん……)
心の声で私が逝くことをこいしは拒否してくれる。
私にとって彼女とは今しがたあったばかりだが、こいしは何年も何十年も一緒に暮らしているのだ。
ここで死ねばとても悲しむだろう。
「こいしがこう言ってるのよ? それでもあなたはいっちゃうのかしら?(私だって……)」
「……」
さとりも訴えかけてくる。
本音と建前の両方で、私に生きて欲しいと。
前世ではここまで思ってくれたのはお爺ちゃんだけだった。
私には両親も友達も怖がって、嫌がって、恨まれて。
それもこれも「人の心が読める」という誰も彼もが嫌悪する能力があったからだ。
化け物扱いされてきた私だが、ここではどうだろうか?
化け物?
その通り私は今となっては化け物だね……
でもここには同じ境遇の、同じ人種の、家族である姉と妹がいる。
ここでは私を必要してくれる人が、いる。
「大丈夫よ。お姉ちゃんは死なないよ」
――――だから私は生きようと思う。
前世でお爺ちゃんを残してきた私は誰に許させるだろう。
死んでから地獄に行っても構わない。
でもこうして生きて欲しいと願っている人がいるなら私は、二回目の人生だけど必死に生きようと思う。
「……そう。ありがとう」
さとりお姉ちゃんが小声でお礼をささやくのが聞こえた。
お礼を言うのはこっちなのに。
「じゃあご飯にしよ! ご飯!」
「そうね、そろそろご飯にしましょうか。こいしもはるかも」
「はーい!」
「……わかった」
まだまだ言い方がぎこちないけど、これから改善していこう。
私たち姉妹なんだから。
その後私はここ地霊殿でのんびり過ごしている。
え、こいしの「第三の眼」が閉じる?
そんなことはなかったわよ。
はるかお姉ちゃんがしっかり見守ってたからね。
前世の記憶があればこいしを絶望させることなんてなかったよ。
そして古明地さとり、こいし、私であるはるかはもちろん。
「にゃーん」
「うにゅ?」
お燐やお空などのペットたちも一緒に。
初めて会ったとき両方ペットと言いつつ、妖怪だったのは驚きだったけどね。
そういえば異変と言って地霊殿に紅白巫女と黒白魔女が攻めてきた来たこともあったよ。
「全くただでさえ暑いのに無駄な足掻きしないで欲し
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