文字の語り合い
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らも、こういう事は度々あるだろうに。
駄目ですねぇ、と溜息を吐く私に、近くにいる喜美が苦笑の声を上げるのが耳に入る。
「あんたは本当に母ちゃん気質ねぇ……愚剣がよく言ってたわよ? 智は良い女過ぎるって」
「な、何を馬鹿な事を……」
「あら? あんまり自分を卑下するのは出来てない女がいう事よ? 男だって誇ってもらった方が嬉しいでしょうし、相手も女の事を誇れると思うわよ?」
「……前から思っていましたが、喜美のその自信に溢れた偏見はどこから自信を生んでいるんですか?」
「女の勘」
酔っている人間はいう事が違いますね、と思いながら、まぁ、若干尊敬する。
口に出してだけは絶対言わないが。
そんな事を言ったら、絶対にそれをネタにして遊んでくるだろう、という事にしとく。
「まぁ、ともかく浅間はもう少しアプローチを覚えた方がいいわね。控えめという言葉も度が過ぎたらただの拒否の姿勢よ? 浅間も女なんだから男を多少は喜ばせた方がいいわよ」
「い、いきなり何を言っているんですか!? なな、何でそんなシュウ君に対して、アプ、ア、アプローチなんてしないといけないんですかっ!!」
「あら。私はアプローチした方がいいとはいったけど、相手が愚剣だなんて一言も言ってないわよ」
「ぐっ……!」
自滅点。
自分のストレスがマッハの勢いで増えていくのを感じるが、そこは自制。
というか
「どうして、ネシンバラ君達の話から、そんな話になっているんですか……真面目に答えてくださいよ」
「失礼ね。これでも、真面目に答えているわよ」
「……どこが?」
狂人の言う事は理解できないという真面目だろうか。
その通りならば、確かにその通りだ……と頷くしかないのだが。
あのね、と前置きを置いて、喜美は続きを言う。
「あんたは信頼はしているんだけど心配するっていう、要は信頼が不安の前では長続きはしないっていう事でしょう?」
「ま、まぁ、穿って言えばその通りですけど……」
「なら、簡単よ───足りない部分は頼りたい男に埋めてもらいなさい。あの愚剣も馬鹿ではあるけど、女を受け入れる甲斐性ぐらいはあるでしょ。なら、あんたが飛び込めばそれで万事解決よ」
「……いやいや」
何故そんな結論になるのだろうか。
一つどころか、十くらい飛躍しているような気がする。
「だ、大体っ。そんな事してもシュウ君の迷惑です」
「それを決めるのは浅間?」
「喜美でもない事は確かです」
本当にどうかしている。
シュウ君は基本、自分本位な人間である。
例外はトーリ君くらいかと思われるが、まぁ、放任主義なのは変わらないだろう。
実際、生徒総会の時は、頑なにトーリ君に手を貸す事はしなかった。
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