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不可能男との約束
文字の語り合い
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か、竜くらいだろう。
そしてウルキアガに荷重が集中されたことによって、ノリキが多少、楽になった。
しかし、多少レベル。
未だに、荷重は自分にかかっている。
その事を深く理解した上で、角材を持って、前に進んだ。
そんな自分を見て、何を思ったのか、目の前の肌黒スポーツマンは笑い

「Youが私の相手をするのか!?」

「解りきった事を言わなくてもいい」

相手は女王の盾符(トランプ)
能力や閃きで比べたら、明らかにこちらが不利である。
術式のみで言えば、勝敗は同点かもしれないが、特務級と真面に打ち合おうとは思わない。
故に、角材を持って、相手を引き付け、防御し、時にシールドバッシュを行い、手や足などを全身を持って、相手の動きを止める事に専念する。
自分で言うのも何だが、不格好な戦い方である。
動き方は素人のそれ。
ポーカーフェイスなどする余裕など一切ない。
汗なんか垂れ流し。
こうして、相対に出るとクラスの特務クラスのレベルの高さを理解する。
しかし、そんな自分を相手は笑う。
嘲笑いの表情ではない、と勝手に判断できる。それは、むしろ授業の時に、熱田がこちらに向けて、笑う時と同じような顔であるからだ。
そして、その表情で一言。

「素晴らしい……!」






素晴らしいとも! と内心でもう一度同じ言葉をジョンソンは繰り返す。
技術、能力云々ではない。
それで言ったら、戦闘訓練を受けていない一般学生なので、そこまで凄くはない。
強くはない。
だが、この少年を弱いなどとは絶対に判断しない。
その表情は必死だ。
余分なものは一切ない。
余裕がないともいえるが、だからこそ、それを必死の表情で埋めようとしている。
ありとあらゆる力、技術などを未熟なまま使ってくる。

詩的だ……!

賞賛されるべき精神性だ。
自分は勝つ事は出来ないと諦めているのではなく、ありとあらゆる手段で武蔵を勝たせようとしている。
なら

「その情熱に答えず、何が作家だ!」

角材によるシールドバッシュを押しのけ、後ろに軽く飛ぶ。
本当に、軽くだが、後ろに飛ぶ勢いは軽くではなく、大型木箱(コンテナ)の上に乗るレベルでの浮遊である。
そして、着地する瞬間に、ジョンソンは文字を重ねた。

『舞い上がってしまえ』





ジョンソンが着地した足場の大型木箱は言葉通りになった。
二十メートル長の木箱は、再び飛ぶために床となっていた木箱を蹴るだけで、こちらに飛んでくる。
つまり、今のところは重さはないとみてもいい。
だが、傍にウィリアム・セシルがいるだけでそう思ってはいけない。
なら、この大型木箱をそのままにしておくのは不味いかもしれない。
ならば、とノリキは角材を置き、拳を
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