GGO編
百一話 強者へ至る道
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ぇだろ」
「なっ……!?なんで……」
驚くシュピーゲルに、リョウはあっけらかんとした様子で返す。
「お前とさっきその話しした時、嘘付いたの分かったんでな。そう言うの見破んの得意なんだよ俺」
「…………」
驚きと、戸惑いでどう答えたら良いのか分からず、沈黙するシュピーゲルにリョウは頬杖をついて問う。
「実家は医者だっけか……察するに、医学部入れって親に言われたのか?」
「……」
無言。しかしコクリと新川は頷く。
「で、リアルから逃げたくなってGGO(これ)始めて、ビルドで失敗したと……」
「…………」
ぐっ、とのどの奥でうめき、シュピーゲルは堅く拳を握りこんだ。その音を、リョウの溜息が遮る。
「はぁ……親御さんに逆らってなんかするっつー気概は買うけどな……」
「っ!」
驚いたように、シュピーゲルは肩を震わせた。以外にも、リョウは自分の事を非難するつもりはないようだったからだ。
「ま、俺はソイツの人生はソイツのもんだと思ってっから、お前がゲームに人生掛けようが何に本気になろうが文句は垂れねえが、一応、お前が勘違いしねえように言っとくぞ?新川」
と、不意に、あっけらかんとした様子で、リョウは話しだす。
「親父やお袋に逆らってでも選ぶテメエの選択肢ってのはな、その選択肢を狭めるために選ぶ道じゃねえ。親に従いたくねえ、したいことをしてやるって、手前の選択肢を広げる為に取るもんだ」
「広、げる……?」
言われた事の意味を良く理解できず、恭二は首をかしげる。
「そうだ。世間ってなあ断じて優しくは出来ちゃ居ねえが、人生賭けてみりゃあ、案外色んな選択肢ってのがゴロゴロしてるもんだ。その先に失敗があろうが成功があろうが、賭け金はお前の人生。それ以外の何物でもねぇ。お前はそのでっけえ賭け金をベットにしてゲームに打ち込んでる割にゃあ、親に思いっきり逆らう訳でもねぇし、勉強するフリはしてる……割にビルド云々で他人に左右されて、煮え切ってねぇ。それって、イマイチじゃねぇ?」
「…………」
図星を付かれ、同時にやはり非難するのかと言う怒りが湧いて来て、新川は黙り込む。
しかし……
「少なくともお前の人生って、今はまだお前のもんだろ?なら、頑張れよ。装備集めなら付き合ってやるし、必要なら俺に出来る事は手伝ってやるから」
「は……?」
拍子抜けするような事を言われて、恭二は思わず声を漏らしてしまう。
それはそうだろう。ゲームに人生を掛けるなど、一般的に見れば愚行でしかない。彼のようにある程度満たされている人間からすれば、見下すべき対象と言ってもおかしくない筈だ。それがどうしてそうなるのか。あるいは唯からかわれているのか。そう感じて、新川は警戒しつつ問う。
「な、なんでそんな……」
「…………?」
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