蛇足三部作
『最後は隣に並んで歩こう』
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「――まあ、あの子達には是非とも偽物ではない“本当の平和”を手に入れてもらうつもりだがね」
そうやってニヤリと笑う姿は、先程までの弱々しい声音が嘘の様に――――飄然としたもので。
諦めてなどいないだと、言外にその意思を滲ませた口調に我知らず口元が歪んだ。
「――――平和な世界など、来るはずが無かろう」
「それはどうかね。オレやお前が生きていた時代と、この時代は……大きく変わり始めているじゃないか」
楽しそうに、愉快そうに。遠くに佇む忍び連合の連中共の方へと視線を向けながら腕の中の仇敵は嘯く。
確かに、あれほどいがみ合っていた五大国の忍び達が急造の連合でよくぞここまで連携を取れたものだとは感心するが。
「……お前達が投じた一石は、お前達が思っていた以上の波紋を描いたのだと……考えられないか?」
黙っていれば、滔々と言葉が綴られていく。
それは己に対して告げているというよりも、離れた所で聞き耳を立てている連合の忍び共に、何よりも自分自身に対して言い聞かせていたのかもしれない。
「――この大戦を通して、五大国の忍び里は協力し合える事を……思い出した。そんな彼らが、この大戦に勝った後、どうなるかなんて……分からないじゃないか」
木ノ葉も、砂も、霧も、雲も、岩も――関係無い。一族同士でいがみ合っていた忍び達が、国という繋がりの中で里と言う集合体を造り上げた様に、忍びという形で繋がる事が許される様になる世界へと。
かつて望んでいたその光景を想像するだけで心が躍るのだと言わんばかりに、神秘的な緑の輝きを帯びた黒瞳が興奮で煌めく様を間近で目撃する。
――遥か彼方を見つめているその眼差しには、どのような景色が映っているのだろうか。
「最も、オレ……私がその光景を見る事がもう無いだろうけど」
少しだけ残念そうに、少しだけ勿体無さそうに。
寂しそうに呟かれたその一言が、自分達を現実へと引き戻した。
「……見届ける気がないということか?」
「もとより、既に死んだ人間がいつまでも未練がましく残っているわけにはいかないじゃないか」
あっけらかんと言われた言葉に、胸中がざわめく。
あのいけ好かない弟妹達が少しでも傷つけば大騒ぎしたくせに、どうしてこいつは昔も今もこと自分自身の事となると、こんなにも無頓着に振る舞えるのだ。
「何も……遺さないつもりなのか? 己の肉体も亡骸も、何一つこの世に……」
「そんなもんよりも、もっと大事な物を遺して逝くから平気だ。私の願いも夢も希望も――世界の命運も、ナル君やオオノキ君……我愛羅君や、私の愛しい二人の血を引く……五代目に……つーちゃんに託したもの」
それを滑稽な理想論だと嗤うのは簡単だろう。
いっそ愚かなまでに次代
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