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王道を走れば:幻想にて
第四章、その5の1:気づかぬうちに
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ツの中へと手を滑らせる。生まれつきの無毛の小さな丘を滑り、甘い蜜が湿る花園の孔へと指が入り込む。ちろちろと指を蠢かせれば熱帯びた壁がそれを軽やかに歓迎してくれる。それとて性を伴う刺激になるのはいうまでもなかった。
 最早言い逃れの出来ないレベルで、愛撫の手は大胆さを増していた。自室の寝台での出来事でなければ唯の痴女の所業である。一皮剥けば貧民の娼婦も、貴族の令嬢も同じ構造を持つものだというのか。コーデリアもその例に漏れず、両手で別々の熱と水気を感じながら、己の想い人を夢想した。不埒にも、まだ見ぬ想い人の逞しき槍を、である。

(ケイタクさんの・・・おっきいの・・・)

 知識でしか知らぬそれをコーデリアは頭の中で作り上げる。己を貫き絶句の至福と快楽を与えるであろうそれを夢想し、息が苦しさを増すように昂ぶった。心成しか蜜壷に入った指がより多くの水気を感じるようになった。

「はぁっ・・・ああ・・・あんっ・・・」

 どことなしに暗い感情が伴った指の動きだ。自分気ままな妄想の果ての自慰であるから誰にもそれを打ち明かせない。故に胸の炎をを一人で解消せねばならず、突き入れる指が一本から二本に増えて、胸を捏ねる手に淫らさが増すのが別段不自然な訳ではないのだ。彼女にとってみれば、全てが慧卓のせいなのだから。

(だめっ、凄い昂ぶってる・・・)

 身動ぎした程度では股座の水音を掻き消す事は出来ない。頬は真っ赤に染まって林檎のようであり、陶磁器のような肌には汗が浮かんで危なげな美しさを醸している。妖艶な声が幾度も漏れては己の気持ちを昂ぶらせ、只管に性についての夢想を描き立ててくれる。自分が好いている男を想っての慰めとはかくのごとく淫蕩としたものであり、そして寂しきものであったか。
 寝巻きと下着は体液に濡れて「包み隠す」という重要な役割を放棄している。気付けば胸の高鳴りは最高潮に達し、漏れる息も汗も欲情のままに火照っていた。掌に感じる胸の柔らかみも、二本の指が弄る花園の肉も、気分を大いに盛り上げようと淫らに弾けるようだ。そしてその時が訪れる。

「っっ!!いっ・・・!!!」

 声にならぬ可憐な呻きを漏らしてコーデリアは瞳をぎゅっと閉じ、びくびくと震えた。不意に涙が目端から毀れて寝台のシーツに落ちる。その間にも美の体躯は身体の奥底から迸った性の刺激に痙攣し、妖艶な水を流していく。今まで感じた中で最高峰の法悦であったのだ。望外の高ぶりに身体も今まで以上に敏感になってしまったのは、乙女の秘密であった。
 行為を終えた後に荒げた息を整えながら、コーデリアは己の心が段々と冷静になっていくのを感じる。そして己の何とも馬鹿げた格好に呆れてしまうのだ。

「はぁっ・・・はぁっ・・・もう、止めよう・・・寝れなくなっちゃう・・・」

 秘所から
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