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王道を走れば:幻想にて
第四章、その4の2:布石
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うに身を置いてから話す。

「どうした、キーラ」
「あの、明日の事なんだけど・・・行っちゃうんだよね?」
「ああ、賢人会の事か。まぁな、アリッサさんと手分けして、賢人会のメンバーを口説き落としに行かなくちゃならない。これも王国の未来のためだ」
「そうなんだ。結構遠いって聞いたけど・・・」
「一応な。ここから歩いて三日、ってくらいか。馬を使いたいのが本音なんだけど、まだ長旅の疲れが癒えてないらしいからさ。ベルに無理をさせたくないよ」

 ちらと厩舎の方を見るが、寝静まっているようで何ら物音が聞こえない。キーラは己の綺麗な水色の髪を撫でつつ、愁眉を俄かに潜ませている。心配を募らせてくれているのだろう。

「アリッサさんの方が先に帰ってくる予定だよ。リコの見立てじゃ、あっちは行きも帰りも一日で済むらしいからね」
「・・・でも心配だなぁ」
「大丈夫だって。あの人はそんなに軽い口じゃないからさ、厭味言われたくらいじゃ顔に出す程度で済むって。・・・いや、それも問題なんだけど」
「そっちじゃなくて、ケイタクさんが」
「俺?・・・そんなに、頼りないか?」
「頼りないっていうよりも・・・その・・・ね?」

 上目遣いにキーラは相手の瞳を覗き込んだ。澄み切った瞳はまるで星のようであり、慧卓は頬をかりかりと指先で掻く。

「ま、まぁ兎に角心配されているくらいだからな。気をつけて行くに越した事は無いよ。エルフってのは思ったより気難しい民族だから」
「ふーん、そうなんだ・・・昼間、何かしたんでしょう?」
「えっ?い、いやぁ・・・何も無いですよ?ハハッ・・・」
「・・・馬鹿な人、本当に」
「あはは・・・重々承知ですよ・・・」

 すっと細められた睨みに慧卓はたじろぐ。明らかに事がバレている。ひょっとすると既に噂が立っているのかもしれない。そうでなくとも自分の引き攣った表情を見れば直ぐに悟れると言うものであるが。
 慧卓は乾いた笑みを留めると、真剣味を増した声色でいう。

「実はさ、心配に心配を掛けるようで悪いんだけど・・・俺が向かう先の人、結構乱暴のきらいがある人らしい」
「・・・そう」
「ああ。領内で盗賊を拷問死させるに飽き足らず、民草を虐げ、鳥に死骸を食わせる。加えて人間嫌いだ」
「どうしてこんな時に、そんな事を言うの?」
「・・・俺の仕事、分かってるよな?補佐役っていう仕事だ。大事な人の背中で危ない棘を抜いたり、被りそうな危険をその人に代わって被る。時には、手も汚す。
 ・・・俺の予測だけど、多分向こうで話が(こじ)れるだろう。力技が必要になるかもしれない。此処にも戻ってくるのが遅くなるかもしれない」
「・・・分かった。ケイタクさんが居ない間、なんとかアリッサさんを支えてみる」
「ありがとう。俺以外にこんな大
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